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しばらく硬直してたけど、その間に言葉の意味を理解して、夾さんの気持ちもわかった気がした。
あんな目に遭ったところに弟をおいておくなんて俺ならできないし。自分の元にいればすぐに駆けつけることもできる。だから引っ越しを進めてるんだ。
やっぱりここは、家族を優先させて輝は引っ越すってことのほうがいいん、だよな・・・。
俺は必死で笑顔を作った。
「行っておいで。お兄さんのそばの方が安全だろうし、お兄さんも心配なんだよ」
「・・・・・・」
輝の表情が固まった。理由は分かってる。
「・・・・・・んで?」
「え?」
「なんでそんなこと言うんだよ」
輝の手の甲に滴が落ちる。
「僕は・・・・・・・・・・・・。神谷は僕と離れても平気なんだ」
輝が泣いてる・・・。
泣かしたのは・・・
「引っ越したら転校しないといけない。もう会えない。おまえはそれでもいいって言うんだよな!?」
輝は泣きながら怒ってる。
泣かしてるのは、俺だ。
そんなの、会えなくて良いわけがない。俺だっておまえと離れたくなんかない。でもな、無力な俺じゃ、おまえのすべてを守ってやることなんてできないんだ。それなら、安全な夾さんのところにいるほうがいい。
「俺・・・・・・」
言えない。行かないでなんて言えないんだ。
ちゃんと言え、俺。
「俺は、いい。おまえが安全でいられるなら、お兄さんの元で幸せに暮らしてくれ」
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