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2009年2月17日 検査結果
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さっきの話まではちょっとだけ「大丈夫、ボクゥッ!?」という感じだったのに、綾川先生の微笑みで僕の不安は綺麗さっぱり跡形も無く消え去った。
やっぱり美人の微笑みは威力が違う、いや正確には大人の女性は違う、だろうか?
確かに同年代の女の子も可愛いし、話をしてて楽しいけれど、やっぱり綾川先生の様な大人の女性とは違ってこう……あれ?…同年代?
………うぇぇえ!?やばいっ!!
僕には結衣ちゃんという可愛いガールフレンド (予定) がいるというのに、綾川先生も好きだなぁなんて思っちゃってる!!
違うっ、僕は結衣ちゃんの事ちゃんと好きだし、付き合いたいとも想うほど真剣なんだっ!
綾川先生にちょっと目が行っちゃったのは、たまたまで…別に結衣ちゃんなんて~とかいい加減な事なんて断じて想ってないっ!!
どうでもいいとかなんて、絶対に思って…
「……旭」
「えっ、なに母さんっ、僕、別に結衣ちゃんの事どうでもいいなんて思ってないよっ」
「…いきなり何言ってんのよ、この馬鹿者」
確かに、超真剣な話の最中だと言うのに、何言っているんだ僕
てへっ、と舌を出し首て傾げてみれば (某ケーキ屋ではないです)、母さんは眉間に皺を寄せ、思いっきり俺の頭を叩(はた)いた。
「つっ……」
チョー痛いっ!!
まぁ、さっきの様に殴られるよりかはいいが
「ふざけるな大馬鹿者。あんた張本人なのよ。何か聞きたい事とかは無いの?」
「き、聞きたい事…?」
「あんたが聞いた事は入院するかどうかだけ?他に無いの?」
??…確かに母さんの言う通り、僕が綾川先生に聞いたのはそれだけだった。
「答えられる事は何でも答えますよ?」
言葉に詰まった僕に綾川先生はにっこりと僕に笑いかける。
しかし………
「う?ん…」
しかし頑張ってみるが、何故か何も思い浮かばなかった。
いや、頑張ってみるがって思った時点でおかしいのだろう。
「???……う?ん……」
形から入ってみれば何か思いつくかもっ、なんて思ってさりげなく腕を組んでみたが…全く思いつかなかい。
「…もしかして、本当に何にも無いの?」
母さんは呆れた表情(かお)で(…もしかしたらそれを通り越して哀(あわ)れんでいる気がする)僕を見てた。
しかし…そんな母さんの表情(かお)を見ても…やっぱり思いつかなかった。
「大丈夫ですよ、朝霧さん。恐らく旭君は整理がついていないのだと思います。こういう事は良くある事です」
「…本当ですか、先生。息子が救いようが無いほどの馬鹿なだけじゃ無いんですか」
ガンより脳の治療からしてもらった方が…とか母さんはぶつぶつと綾川先生に呟いた。
いや、聞こえてますよ、母(れいこ)さん。
っていうかひどいですよ、母(れいこ)さん。
それと綾川先生、「朝霧さんが望むのなら」とか相槌をうたないで下さい。
そんな事言ったらホントに「お願いします」とか言いますから、僕の母親。
…というか既に言ってます。
あぁ、なんか……泣きたくなってきた…
?
「と、冗談はここまでにしておきましょうか」
…その冗談に、俺のライフポイントは残り僅かになりました、綾川先生。
思わず大きなため息をつく俺に、綾川先生はふふっと軽く笑った。
「心の整理がついたら聞きたい事が沢山出来ると思うから、その時はいつでも聞いて頂戴ね」
「は?…い……」
綾川先生の言う通り、きっと時間が経ったら何か質問したくなるだろう。
取りあえず、そう思う事にした。
?
この後、綾川先生はいくつかの説明を僕達にしてくれた。
その中で俺が一番嬉しかったのは、僕の治療はこのまま東雲大学で行えるという事だった。
本来はがんセンターとかにいって治療しないといけないのだが、東雲大学病院はがんセンター並みにガンの治療に力を入れている病院らしく、がんセンターと同じレベルの治療を受けられるらしい。
勿論、僕達が望むならがんセンターでの治療も可能で、その際は紹介状を書いてくると事なのだが、母さんと僕はそれを断った。
だって僕がここで治療をするという事なら担当医は綾川先生になるって言ったから。
綾川先生が僕の担当医になってくれるというのなら、むしろ僕から「ここで治療して下さい」ってお願いしますよ。
後は病院が家に近い事も理由の一つにあげられる。がんセンターと同等の治療が受けられるというのならわざわざ遠くまで行く事も無い。
ちなみに入院期間については、もう一回検査をしてから決めるとの事。
せめて長くならない事を願いたいです…
?
一通りの説明が終わったので、僕は先に部屋から退出する事になった。
何でも母さんはこれから入院の手続きや、治療費の説明を綾川先生にしてもらうそうで、「あんた邪魔。先に外行ってなさい」ときっぱり言い切り……追い出された。
まぁ反論も出来ないし、する気も無かったので、僕は大人しく部屋から出てきた訳ですが…??
「何も持って来てないよ?」
そう、暇つぶしの用の本を持って来てないのだった。
駄目元でちょっと巨乳な看護士さんにどれ位かかるかと聞いてみれば、昨日みたいに6時間待ちとかは無いと思うが(というか無いと願いたい!)、それでも一時間位はかかると教えてくれた。
…今度からは長くないと言われても、本は持って来ようと思う。
?
「雲が厚くなってきたなぁ…」
ふと窓から空を見上げれば、朝と違って雲が厚くなっている。
空も暗くなっているし、もしかしたら雪でも降るかも知れない。
「??…ちょっと散歩でもしようかな…」
寒いけど~、暇だからねぇ
手に持っていたジャンバーを着ながら、僕は取りあえず中庭に向かう事にした。
???
今思えば、これは何かのお導きだったのではないかと思う
先に部屋から出た事
暇つぶしの本が無かった事
空を見上げ雪が降りそうだと思った事
寒がりな僕が珍しく外へ行こうと思った事
色んな事が重なって
(もしかしたらこれを偶然、もしくは奇跡と呼んで?)
僕は????君に逢う事が出来たんじゃないかって…
???
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