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......カタカタ、カタカタ、
やっと入れた専務室の秘書用デスクで入力作業を始めたものの、原因不明の動悸が治まらず全く仕事が捗らない事に凪は焦っていた。
...ダメだ、全く進まん。......何だこの動悸は。
心臓か?心臓なのか??
小さな頃からこの中性的な顔のせいで、可愛い、綺麗と男の俺に言われても、全く嬉しくない誉め言葉を言われ続けてきたが、美人薄命って男にも当てはまるのか?などとアホな事を考えさせるほど動悸がすごい。そして思い出す。
......ん!?ってか、お母さんも“美人薄命だからお母さん長く生きられないから労って!“ ってよく言ってるけど、よくよく考えたら50歳だな。
何が薄命だ、軽く折り返しちゃってるじゃんっ!!
迷信だな。間違い無い。じゃあ、美人薄命に男が当てはまろうとも、俺、死なない ヨシッ!!と小さくガッツポーズ。
そしてデスクの上のファイルがちらと視界に映りハッとする。またトリップしてた。
どーすんだよこれ...、ぜ~んぜん終わんない。
一部始終凪の百面相を見ていた恭司はクスクス笑い。聞こえるか聞こえないかの小さな声で本当に可愛いねと呟く。見ていて飽きないが、あの様子だと集中できていないのだろうと助け舟を出した。
「凪くん、ちょっとおいで。」
自分のデスクから手招きする恭司に従い、はいと返事をしてそちらに行く。
「 お使い、頼まれてくれる? この書類を常務室まで行って、雅臣か槇野くんに直接渡して。 で、済んだら2階にカフェがあるから飲み物を2つ買って来てくれるかな? 私はカプチーノを。あと1つは凪くんの好きな物を買っておいで。このカードを渡せば買えるから。お願いできるかな?」
にっこり書類とカードを渡されて、はい!と元気一杯返事をすると、笑みを深めた恭司に、気晴らしして帰ってきたらきっと集中力も戻るよ。って言われて、自分の為に頼んでくれたのだと気付いて慌てた。
「...っ、専務、申し訳ありません...。」
なんて優しいんだろう。本当に微笑みの貴公子。などと思ってうるうる見つめると、「真っ直ぐ帰っておいでね。寂しいから」と微笑んで頭を撫でてくる恭司に動悸が一層激しくなる。
......やばい、...本格的に心の臓が痛い。
火照る顔と痛いくらいに高鳴る胸。それに気づいたら内心盛大に慌てた。
.........まさか、......イヤ、うん、 こりゃ、まさかのアレだな。 ......こっ、......イヤ、いかん、いかん。
言葉は魔力を持つ。うっかり口に出したりしたら ホニャララマジックにかかり、しっかりがっつり乙女思考になる気がする...。 うん。黙っとこ。
恭司を見つめたまま自覚した想いに凪は怖いからと蓋をした。
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