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二日酔い
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苦しいほどの喉の乾きと頭痛に襲われ、目を覚ますと全く見知らぬ部屋で、状況を把握するまでかなりの時間を必要とした。
やってしまった。
どれだけ追い詰められてたとしても、名前と職業しか知らない人の家に上がり込み、挙げ句酔っ払って寝てしまうなんて。
自分が信じられない。
とりあえず、起きて、教授に迷惑をかけたことを詫びて、早くここから立ち去らなくては。
その思いだけで体を起こすが、瞬時に後悔した。
激しい頭痛が、より一層激しくなって襲ってきたのだ。
・・・これが二日酔いというものなのか。
すぐに力尽きて、またベッドに横たわる。せめて携帯を取りたいと、サイドテーブルの携帯にゆっくりと手を伸ばす。
通常なら数秒で終るその作業をたっぷり、2分はかけて行い、それでも襲いくる頭痛と闘う。
必死の思いで手にした携帯は、黒い画面のままで動く気配はなかった。
この部屋には時計もなく、携帯も役に立たないとなると、時間がわからない。
どうしようか、考えていると、扉がゆっくりと開いた。
朝比奈教授の顔が見えた瞬間に何も考えずに飛び起きた。
「ヴッ・・・・・昨日は、すみませんでした・・・」
途端に激しい頭痛に襲われ苦しみながら、なんとか謝罪する。
「あはは、すごい顔だね。昨日はこっちが飲ませ過ぎちゃったんだから、気にしないで。とりあえず、ここに水と鎮痛剤とウコン置いとくから」
教授の静かな声でも、やはり頭に響く。それがわかっていたのだろう。囁くような小声で「今日は、ゆっくり休むんだよ」と言ってくれた。
帰りたくても動けない。教授の厚意に甘えるしかなかった。
例えようのない不快感に苦しみながら、心のほうが苦しいとも思った。
頭の痛みは二日酔いで、明日には治るのだろう。
でも、心が痛いのはいつになったら治るのだろうか。
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