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八嶋さん Ⅱ
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それでも、まだ腑に落ちない。
俺とアキラは男同士だ。仲が良さそうな様子を見ても、付き合ってると思うだろうか。
「一目惚れだったって、言ったろ?
ずっと見てりゃ、お前が好きなやつが誰かなんてすぐわかる。・・・それに、おれも、・・・だしな」
何のことかわからず、首をかしげるとなぜか怒られた。
「あー、もー、そーゆーことすんなよなぁ。お前、ホンットに自分のことわかってなさすぎ。そーゆー無防備なことしてると、おれみたいなゲイにパクっと食われちまうぞ」
八嶋さんの言葉が理解できるまで、かなりの時間が必要だった。
無防備?自分のことわかってない?
え?ゲイって何だっけ?
下手をすると八嶋さんの性癖を理解するまで、数分かかったのかもしれない。
気づけば、八嶋さんが困ったような呆れたような顔をしていて。
「そーゆーこと。おれは、男にしか興味ないの。そんで、お前は、おれみたいなゲイからすれば、ヨダレ垂らしそうなほど色っぽいの、わかった?」
自分自身のことについては納得できなかったが、八嶋さんの勢いに負けて、頷いてしまう。
「あの、もう一つ、いいですか?」
どうしても気になってしまった。
「一目惚れって、ホントですか?」
「おまッ、それはねーだろ・・・今までの話、根本から否定するよーなコト言わねーでよ・・・」
本気でショックを受けている八嶋さんに焦ってしまう。
「だって、八嶋さん、初対面のとき、俺のこと無理だろって、言ってたし・・・」
「あー、アレな。あれは・・・」
八嶋さんの話によると、あのファミレスの店長は八嶋さんがゲイだということを知っていて、しかも店のやつには手を出さないと約束もさせられていたそうだ。そこへ俺が入ってきて、八嶋さんの好みだった俺を見て、手を出さないなんて無理だろって、ことらしい。
俺の疑問はあっさり解消されたが、恥ずかしさは増しただけだった。
「リョウが店辞めてくれたから、これからは思う存分口説かせてもらうから。・・・とりあえずは、オトモダチから始めるけど、な」
だから、と強引に連絡先を交換させられる。
俺、いいともなんにも言ってないんだけどな。自分が流されやすいタイプなのかと少し心配になったが、新たに連絡先が増えたのは、純粋に嬉しかった。
俺の世界はアキラだけではないんだ。
そう、思うことができたから。
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