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ケイさん Ⅱ
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ケイさんのお願いとは、俺と連絡を取りたい、それだけだった。
アキラには絶対に言わない、そう言われてしまえば、特に拒否をする理由もなく、俺とケイさんは連絡先を交換する。
連絡を取る理由については、「リョウ君が気に入ったから」と、どう考えても誤魔化されたが、悪用するような人には見えなかったし、まあ、いいか、と自分を納得させる。
それから、ケイさんは時々俺を呼び出してきた。
さすがに、ケイさんの店に呼び出されることはなかったし、時間帯も夜ではなく、日中だったため、あまり二人で会うことに抵抗はなかった。
用は特にないらしく、俺の近況を尋ねてきたり、自分のことを話したりと当たり障りのない会話ばかりで。接客業で話術に富んだケイさんとの会話に、すっかり心を許してしまっている自分がいた。
ただ、時々、思い出したかのように、話のついでにアキラのことを知らされることもあった。それだけが苦痛で、それなのに、いつもその話題を期待している自分もいた。
どこかで、アキラと繋がっていたかったのかもしれない。
かなり荒れていたらしいアキラも、大学に真面目に通い始めたこと。
オレと住んでいたマンションは引き払い、新たなマンションに移り住んだこと、そしてそれが高級マンションであること。
時々、ケイさんの店でバイトのバーテンとして働いていること。
そこでは、かなりモテていて、アキラ目当ての客も多いのに、客には絶対に手を出さないこと。
不思議なもので、恋人として付き合っていた頃には知ることのできなかったアキラが、今では簡単に知ることができて、以前よりアキラを身近に感じていた。
その後もずっと、ケイさんとの関係は続くことになる。
俺が院に進んでも、就職しても変わらずに。
そして、ケイさんから聞くことになるのだ。
アキラが結婚した、という事実を。
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