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単純
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散々な一日だった…
今日はとにかく一刻も早く家に帰りたかった。一日の全エネルギーを使い果たして眠いし疲れたし、早くあいつから離れたかった。
もしかしたら今朝同様、あいつと出会うことなく一人で帰れるんじゃないかと淡い期待すら抱いていた。
ホームルームが終わってすぐ、俺は下駄箱まで走った。
そこにいつもあるはずの人影はなくてほっと胸を撫で下ろした。
靴に履き替え、いざ校門を出ようと晴れやかな気持ちで一歩踏み出そうと片足を上げた。
──ちょうどその時
「……二度も僕を放置して行こうなんていい度胸だね」
後ろから聞こえた声に背筋が震え、体が硬直する。
先程までの気分が嘘のように吹き飛び、一瞬にして目の前が絶望の色に染まった。
ゆっくりと振り返ればそこには腕を組み仁王立ちをしたあいつがいた。
纏う空気が恐ろしく黒い。
「…なんでいる」
「逆にこっちが聞きたいね。どうしてこうも君の思考回路は単純なのか…呆れを通り越して尊敬するよ。
……その手はなに?」
真後ろにスッと引いた俺のチョキを指差す。
「どうにも目が悪いみてーだから眼科を紹介してやろうかと」
「はは、そりゃどーも。
…てめーの脳みそ疑え単細胞」
ストレートに入った目潰しに俺は悶絶した。
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