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生暖かい風が吹き、草木を揺らす。
風に乗って花の甘い香りが漂ってくる。
ああ、知ってる…この感じ…
意識の外側から誰かが近付いてくる音を聞いていた。
ぺたぺたと触られる感触にんー、と唸るとサッとその手は引っ込められた。
…なんか前にもあったなぁ、こういうの
僕がこうしてサボっていると君はどこにいても見つけ出して、起こせばいいのに、新しい玩具を見つけた子供みたいに僕の顔を触るんだ。
僕自身、君に触られるのは嫌じゃないし気が済むまで触らせて、その間僕は寝たふりを決め込む。
途中で寝たふりにも飽きて、飛び起きて驚かせたことも何度かあったなぁ。いい加減学習しろよ、ってどれだけ言ったんだっけ?
それでも懲りずに同じことを繰り返して…図体がでかいだけの子供だな、と笑った。
──懐かしいなぁ…
今、僕の顔を触るその手が君であればいいのに…
温かいものが頬を伝う。
「…………ぃ………」
「……会い……たいよ……………かお……………」
伸ばした手が宙をかいた。
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