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絵を描くのは小さい頃から好きだった。
外で遊ぶより、家で絵ばかり描いていた。
そして高校生になった今でもやっぱり絵を描いている。
放課後になり早速美術室へ向かう途中、幼なじみの幸(こう)を迎えに行こうと思いまず隣のクラスへ寄る。
「幸~部活行こ・・・」
幸のクラスを覗くと彼氏である絹谷がべったり幸に張り付いていた。
「あーーー部活行きたくねぇ・・幸と離れたくねぇよ・・」
「もう・・・絹谷君ってば・・・」
幸もまんざらでもなさそうな顔をしている。
このクラス(いやもう学校中か)ではもう公認カップルらしくクラスメイトも特に何も言わない。
「絹谷!!どこでもかしこでも盛ってんじゃねぇ!」
俺は持っていた教科書で奴の頭を叩いた。
「痛てぇ・・市浦!何しやがる!?」
「何しやがるはこっちのセリフだし・・・」
俺は幸を迎えに来てしまったことを深く後悔した。
別に絹谷のことが嫌いではないが、大事な幼なじみを汚されてしまったことが
嫌なのかもしれない。
「ごめんね・・和葉・・」
「別に幸が悪いわけじゃないし・・ほら部活行くよ」
「うん!」
「なら、俺も行くか・・」
ようやく部活に行ける。そう思って教室を出ようとしたところで・・・
「絹谷主将!!お疲れ様です!迎えに来ました!!」
教室にやかましい声が響く
「林田か、悪ぃ準備したら行くから」
「うっす!!」
林田と呼ばれた男は短く返事をした。
(あのスリッパの色は2年生か・・・)
野球部らしい短い髪。よく焼けた肌。ガタイのいい体。
(まぁまぁってとこじゃないかな・・・)
俺は林田と呼ばれた下級生をちらりと一瞥した。
俺も幸と同じで、男しか好きになれない。
かと言って彼氏が居たことがあるかと言ったらそうではない。
今の今までフリー。
自分で言うのもあれだけど、別にモテないわけじゃない。
そういうお仲間からは声はかかる。
だけど、誰とも本気になれない。
恥ずかしいけど、運命の相手というのを探している。
誰が俺の運命の相手なんだろう・・・。
小さい頃からずっと探している・・・。
見た目に似合わず乙女チックなんだよな俺。
「林田くんだ、こんにちは」
「あ・・咲坂先輩!うっす!!」
幸が林田に挨拶をしているその横で俺はまたチラリと林田を見る。
(背も高い・・絹谷よりデカいんじゃないか・・・)
なんだか知らないが俺はこの男が気になるらしい
そしてその男は俺の方を見た。
「えっと・・・市浦先輩ですよね?」
「そうだけど・・・会ったことあるっけ?」
「いえ、でも市浦先輩有名人なんで!」
有名人?俺が?なんでだ、絵のことか?
「悪ぃ、林田。部活行こうぜ」
「はい、主将!」
準備が出来たらしい絹谷は林田に声をかけた。
「なら幸。部活行ってくるな」
「うん、頑張ってね」
そう言って絹田には林田を引き連れ教室を出て行った。
出て行く時に俺はまた林田をチラリと見た。
・・・・目が合った
奴も俺を見ていた。
なんともいえない感情が心を支配する。
なんだろう・・・この感情
俺は訳の分からない感情を抱えたまま美術室へ向かった。
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