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危険な取り引き
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「は?お前、何を言ってるのか分かってるのか?」
先輩は、疑いの眼差しを向ける。
それでもなお、ルイは、飄々とした雰囲気を崩さない。
どういう神経してるんだか…
「もちろん。ただヒトとして、どちらも得できる道があれば、それが一番でしょう?」
さも、自信ありげに言う。
まあ、ルイのことだから何らかの考えはあるのだろうが…
先輩が、攻撃を仕掛けないという保証がないのに、よくやると思った。
「そんな道があるわけ…」
「ありますよ。貴方さえ協力してくれれば…」
含みを持たせた言い方。
「何?」
威嚇する先輩にルイは、ニヤリと笑う。
何か企んでいる笑いだ…
「貴方は上に、俺が危険因子かまだ判断出来ないということで観察を続けることを報告する。そうすれば、先輩への教会の拘束も弱まりますし、俺だって死ななくて済む。
教会側も理由なしに殺すのは、条約違反ですしね。」
「お前は、現に一般人に手を出しているじゃないか。それを隠せるとでも?」
先輩は俺のほうを向く。
あぁ、俺のことか…
俺は、噛み跡に手を添える。
そんな大変なことだって思ってもなかった…
「隼人は、今日、血の花嫁のことを承諾してくれました。だから、今日中にでもしっかりと契約は結ぶつもりですよ。先輩はたった一日だけ目をつぶってくれれば良いんです。」
「本当か?」
俺のほうに視線が向けられる。
契約っていうのは、わからないが血の花嫁のことは本当だ。
だから、俺は肯定の意味で、首を縦に振った。
先輩は、考えるように腕を組む。
まだ、納得していないそんな感じだった。
確かに理想的な話にも見えるが、先輩がルイを殺していないことには変わりがない。
つもり、一時的に拘束が緩んだとしてもそれが汚名脱却になるかというとそうではないだろうから…
先輩の目的とはズレが生じる。
中々、難しい話である。
それを察したのか、ルイは話を付け足す。
「先輩がそうと報告する代わりに、俺は先輩に革命派の情報を流すっていうのはどうですか?そちらとしたら、喉から手が出るほど欲しいものでしょう?」
「お前…何を知っている?」
疑いの眼差し。
鋭い獲物を射抜くような…
何か敵対しているものだろうか
その単語が出てきた瞬間、先輩の顔色が変わった。
詳しくは俺にはわからなかった…
あとでルイから教えてもらわねば。
「今は何も。だけど、純血の吸血鬼であることはあちらにも怪しまれずに入りやすい。そんな駒が一人でもいたら、先輩もやりやすいでしょう?」
疑いの眼差しは続く。
しかし、二つ目の条件は夜鳥先輩としても欲しいものだったのだろう。
先輩は、組んでいた腕を下ろし、刃物を胸元にしまった。
「分かった、それで手を打とう。条件を破ったらどうなるか分かってるんだろうな?」
「もちろん、煮るなり焼くなり、どうぞ?」
ルイの態度は変わらず、飄々としたまま。
「ふんっ。」
その姿を気に入らない先輩は、踵を返しさっさと暗い路地裏から出ていってしまった。
どうやら、取り引きは成功したらしかった。
でも、不安はまだ残っていた。
「おい、ルイ!お前そんな革命派とかいうのに関わって大丈夫なのかよ⁉︎」
俺のつっこみに目を逸らすルイ。
「まあ、どうにかなるでしょ。俺たち穏健派としてはちょうど困ってたところだからさ。」
そちらについては、どうやら考えはないようだった。
本当に、どうにかなるのかよ…
心配で俺なりにいろいろ考えてみる…
だめだ、全然思いつかない…
その前に革命派とかっていうのも知らないし…
そんな奴が考えたところで…
俺が悶々としているとらルイが急に壁に俺を押し付ける。
「ル、ルイ?」
「それより、隼人、契約済まそうか?」
ルイは、何故かとても嬉しそうに迫りくるのであった…………
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