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監視の目
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恐る恐る振り返るとそこには、想像のままの夜鳥先輩が立っていた。
やはり、目深にフードをかぶり、どこか人を近寄せない雰囲気を漂わせている。
やば…
どうしよう、目見れない。
俺は、ぎこちなくならないように俯き、視線をそらす。
「夜鳥先輩、おはようございます。どうしたんですか?俺らに話しかけて?」
ルイは、まるでさっきのことはなかったように話しだす。
これはこれで、優しさなんだろうな…
俺はそう思った。
誰だって、人に知られたくないことがある。
あの時の先輩は確実に怒っていたし。
「お前らのことは一旦保留になった。そして、俺はお前らの監視を任された。これ以上、面倒事を起こすなよ?」
空の色のような瞳で睨み上げる。
まるで、蛇に睨まれた気分だ。
それ故、縮こまる俺だが、隣のルイは笑顔を崩さない。
なんというか、肝が据わっているというか、図太いというか…
「分かりました。よろしくお願いしますね、夜鳥先輩?」
夜鳥先輩は舌打ちをするとそのまま立ち去っていった。
「いいのかよ?監視とか?」
「あの先輩の性格的に、深くは関わってこないだろうから、大丈夫だろう。」
本当か…?
ルイに疑いの眼差しを向ける。
ルイはクスリと笑うと、俺の頭に
手を置いた。
「大丈夫だって。」
ルイは、そのまま俺を安心させるように黒髪をぐりぐりと撫でまわした。
もともと、癖っ毛な髪なのにさらにボサボサになる。
「やめろ!馬鹿!!」
俺は、慌ててルイの手を払い、ぐしゃぐしゃになった髪を手でもとに戻す。
全くこいつは…
それが本心なのかもわからない言葉ではぐらかす。
本当はルイは、どう感じてるのだろうか?
どう思っているのだろうか…?
心配で、ルイの袖を引っ張る。
「あんま、無理すんなよ?」
取り引きのこと。
吸血鬼のこと。
人をどうこう言えないけど、とにかく心配だった。
「隼人、それ、反則。」
そう言うとルイは、顔を赤くしてそのまま反対側向くのだった………
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