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3.言えない気持ち13
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「栗原!」
部屋に帰ってきて早々、栗原を呼ぶ。
栗原は予想通り部屋で勉強していた。明日のために英語の予習をしているらしい。英語の予習なんて学期末のノート提出前に適当に済ませる奴が多いけど、やっぱり栗原は真面目だ。
「……どうした?」
栗原がシャーペンを持ったまま振り返る。男らしく、端正な顔立ちの栗原の真っ直ぐな視線に圧倒されて、何も言えなくなりそうだった。
「栗原」
それでも僕は止められなかった。
「僕と付き合ってくれ!」
「…………中森……?」
勢いのまま叫んだ直後、気まずい沈黙が部屋を包む。栗原は僕がなんのつもりなのか掴みかねている様子で、僕のことを見つめ返した。
「僕、前から栗原のことが……その……好き、だったから……つ、つまり、栗原と恋人同士になりたくて…………あ、もちろん、無理強いはできないし、僕も栗原も男だってことは分かってるけど……」
「えっ!? あ、ああ…………」
さすがの栗原もいつもなら考えられないほど大きな声で驚く。
僕の意図するところをなんとなく理解した栗原は、考え込んだ。再び訪れた沈黙が痛い。栗原が何を考えているのかなんて考えたくなかった。
僕は早くも後悔し始めていた。地獄のような日々から抜け出したいがゆえに、今まで胸の中で守り続けてきた栗原への想いを軽率に告白してしまった。栗原が僕を受け入れてくれる可能性なんてないことくらい、少し考えればわかることなのに。
「ごめん、栗原……」
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