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4.裏切りと怒り3
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重苦しい気分を抱えたまま、自室に戻る。
今日も荒川さんと身体を重ねて、すっかり乱れきってしまった。荒川さんを求める自分を改めて振り返ると、どうしようもなく消えたくなる。一昨日より昨日、昨日より今日の行為が気持ちよくて、自分が抑えられなくなっていた。日に日に僕が荒川さんにほだされているのは明らかだった。
こんな状態で何の説得力もないけど、栗原への気持ちは変わっていない。できることなら、荒川さんとの関係を断ち切って、栗原と付き合いたい。
でも、すぐには無理だ。それどころか、一生叶わない可能性も高い。もしそうなら、僕はどうなるのだろうか。
そんなの簡単に想像できる。荒川さんとの行為に溺れて、心まで荒川さんのものにされてしまうのだろう。それだけは絶対に嫌だった。
「中森」
疲れたし、もう寝てしまおうと思ったとき、栗原が僕を呼んだ。
僕が告白してから、栗原の態度は少しだけ変わった。別に悪い意味じゃない。僕と話すとき、なんとなく顔が赤いような気がするだけだ。
嬉しいけど、正直やめてほしくもあった。そんな顔をされると、期待したくなる。今度こそ気持ちを抑えきれなくなる。――同性愛者ではない栗原を、困らせてしまう。
「その、ま、待たせて悪いな……」
一瞬何のことか分からなかったけど,すぐに分かった。栗原が分かりやすいほどしどろもどろになっていたからだ。
「大丈夫だよ。僕のほうこそ、栗原を悩ませるようなことを言ってごめん」
栗原は僕が落ち込んでいたのを告白の返事がないせいだと勘違いしたのかもしれない。気を遣わせてかえって申し訳ないから、僕は気にしていない振りをしてみせた。
本当は告白の返事のことも気にしていたけど。
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