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4.裏切りと怒り9
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栗原は僕に背中を向けて、足早に立ち去ろうとする。
「……!」
思わず呼び止めようとするけど、声にならない。もちろん、栗原が振り返ることはなかった。硬く冷たいドアの音が、僕の告白に対する栗原の返事だった。
その瞬間、全てが崩れた。
頭が真っ白になって、思考がまとまらない。
そんな僕を、いつのまにか身体を起こしていた荒川さんが抱き締めた。僕と交わったばかりの身体は、とても温かい。なのに僕は、鳥肌が立つほど寒かった。
「今日は野球部の練習が4時半に終わることくらい、調べればすぐ分かったぞ。好きな奴がいつ帰ってくるかも悠生は知らなかったってことだ。俺は悠生が大好きだから、いつも悠生のスケジュールを把握して動いてたけどな。悠生、お前も栗原より俺のことが好きなんだろ?」
少し前までの僕なら、全力で否定しただろう。そんなストーカーじみたことをするのは荒川さんだけだと。だけど実際には、わざわざ何かを言う気力は起きなかった。
そもそも僕がこれまで荒川さんからの酷い仕打ちに耐え、抗ってきた理由は、栗原が好きだから、ただそれだけだった。僕はもう、栗原に嫌われたのだから、抗う必要もない。
「明日また抱いてやるからな。今日はゆっくり休めよ」
僕が特に反抗しないので、荒川さんは機嫌を良くしたのだろう。最後に僕の頭を優しく撫でてから、帰っていった。
僕はこの部屋に1人、取り残された。
今日に限って2回目をしないのか、と少しだけ期待外れに思っている自分に気づく。
特に最近は、ほとんどの日は2回じゃ済まなかった。徐々に逆らわなくなってきた僕を、荒川さんは何度も抱いた。よく考えたら、今まで栗原に一度も見つかっていないことのほうが奇跡だ。
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