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文化祭day1:明日は一緒に
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午後は看板を持って校内を回る役だったので、仮装したまま歩き回る。
「B棟二階でお化け屋敷やってまーす!」
俺は声を張り上げた。
途中、藤森に会う。
片手にりんご飴を持って、クラスメイトと回っていた。
「あれ!結城先輩じゃないすかぁ!ぷっ...似合ってますね!」
「うるせえ、食うぞ。」
そう言ってぐわあーとすると、藤森はゲラゲラ笑って写真を撮ってきた。
「せっかくだから一緒に写真撮りましょーよ!
お前、ちょっと撮って。」
そう言って藤森は、一緒にいたクラスメイトにスマホを渡した。
とりあえずピースして映ってやる。
藤森は「あざーす!」と言うと、俺に珍しく笑顔を向けた。
驚いたが、次の言葉で納得する。
「今から松崎さんとこ言ってくるんすよ...楽しみっす」
俺も、「おう。期待していいぞ。」と言ってニヤリと笑った。
へっ、松崎。
今から悪の使者・ブラックデビル藤森がお前に会いに行くぞ。
暫くぶらぶらと校内を回っていると、菅谷のクラスの前を通る。
ふわりと甘い匂いがした。
俺は、その匂いにつられて、立ち寄る。
教室のなかは屋台が並んでいて、ぼんやりとした提灯の灯りが綺麗だった。
そして、一際甘い匂いを漂わせている、りんご飴の屋台の前で立ち止まった。
「いらっしゃいませ~♪」
そう言って売っている生徒がにっこりと俺に笑いかけた。
そして、「...あ!」と目を丸くした。
気がついたようだ。
「宗吉くんだあ!びっくりしちゃった!!」
「よう、菅谷。」
俺は照れながら手を軽く上げる。
菅谷は浴衣を着て、かわいいキャラクターのお面を被っている。
か、かわいい...
夏祭り行ったらこんな感じなんだろうな...
俺はキュンキュンしながら、100円玉を差し出す。
菅谷は「あ、まいどあり~」と言ってそれを受けとると、りんご飴を渡してくれた。
「今は宣伝中なんだ?」
「ああ。お前は大変そうだな。」
「まあね。隣がメイド喫茶だからそのついでに寄ってくれる人が多いんだ。」
そう言って、へへ、と笑った。
俺はりんご飴を一口かじる。
...ああ、菅谷への気持ちのように甘酸っぱい。
青春の、味がした。by宗吉
俺がりんご飴を味わっていると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「菅谷、追加のりんご飴出来たぞ。」
...うっ。
この声は...
「香坂ありがとう!」
菅谷がにっこり笑顔を向けながらそう言った。
...香坂......
俺はギギギ、と後ろを振り返った。
久しぶりすぎて忘れている人も多いだろうが、会長の親衛隊隊長・香坂大吾、その人である。
相変わらずデカイ...
俺に気づいた香坂は、見下ろしながら「なんだ。死体が歩いてると思ったら結城か。ま、似たようなもんだけど。」と言った。
くそ...っ腹立つ!
俺だって好きでこんな格好してんじゃねーよ。
いつもは活力みなぎる若者です生きてます。
俺は香坂も菅谷と同じクラスだということを忘れていた。
見ると香坂は、祭と書かれたはっぴを着ている。
地区のお祭りのおっさんみたいだな。
俺が心の中でツボっていると、
「ねえ、香坂もうあっち行ってよ。
俺、宗吉くんと話したいんだけどっ!」
と言って、菅谷はぷくーっと頬を膨らませた。
あう...かわいい...
香坂は「あーわかったわかった」と言って向こうの方へ行った。
邪魔者はいなくなった!!
俺が菅谷に顔を向けると、菅谷はにこーっと笑った。
「明日は、一緒に回ろうね。」
「...ああ。」
ビバ青春☆
俺はりんご飴をまたかじった。
それから俺は暫く菅谷と話していた。
菅谷のところが混んできたので、俺も元の仕事に戻った。
ジーザス...天使の浴衣姿、最高でした......
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