アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
60
-
テントへと戻ると、おじさんがパッと顔を上げて安心したように息を吐いた。
「おー有馬くん、遅いお戻りで?」
隣にストンと座ったあと、そうニヤニヤと笑いながら言われた。
その途端、カァーっと顔が熱くなり、慌てて否定した。
「ち、違うよ!ちょっと人とぶつかっちゃって…それで遅くなっただけ!」
そう説明すると、わしゃわしゃと髪を撫でられたあとにかるく小突かれた。
「はは、なーに赤くなってんだよバーカ!
………心配した」
「……っ、ごめ…なさい」
耳元でボソッと言われて、また別の意味で顔が熱くなった。
な、ななんか……わかんないけど恥ずかしい!!!!
そんな寂しそうな声で言わないでよ……!!
ぐいっぐいっと近すぎるおじさんの顔を小さい手でぺちぺち叩くと、いててっと言いながら離れてくれた。
「…あれ?そういえば美香ちゃんは?」
僕がトイレと言って出て行ったときにはまだ居たはず……
そう思ってキョロキョロ辺りを見回すと、向こうの方で友達とお菓子交換をしているのが見えた。
「………」
よく見たら……周りは家族ばかりで
急に寂しくなった。
「……有馬?」
パラパラと小説を読んでいたおじさんにソッとくっつく。
別に寂しくない……寂しくなんかない…
おじさんが隣に居るのに…
居てくれてるのに……寂しく感じるはずない
キュッと口を閉じておじさんの隣に寄りかかる。
すると、するりと僕の腰に手をまわしてぎゅってしてくれた。
2人とも何も喋らず、そよそよと夏のあったかい風に吹かれながらおじさんは本を読み、僕はただボーッと座っていた。
「ふあぁ〜あ……あちぃなあ…」
眠たそうにあくびをしてよしよしと頭を撫でられる。
「………ん」
それだけでなんだか心が満たされる感じがして……
…すこしだけ泣きたくなった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
61 / 75