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あの夏の日
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「……立花、俺……。」
やだ。
その先は聞きたくない。
「悪い、やっぱこの話止めよう。」
「やだ。立花、聞いて。俺、10年前から。いや、もっとずっと前から、立花の事が好きなんだ。」
あぁ、嫌だ。
聞きたくなかった。
「だったら…なんで……?」
「え?」
怒りと、悲しみと、悔しさと、もどかしさ。
今だって思ってる、晴海にそんな顔させたくないって。
たけど、止まらないんだ。
「だったらなんでっ!なんで、先輩と付き合ったりしたんだよ!」
気がついたら泣いてた。
10年前のあの日、俺は泣かなかった。
蒸し暑い部屋で、蝉の声を聞きながら引っ越しまでの日をただぼんやりと過ごした。
悲しいという感情さえも忘れる程に放心していた。
「お前の事、忘れるためだよ!……でも、忘れられなかった。この10年間、立花の事想わない日はなかったよ。」
「………っかじゃねぇの。」
なんだよ、それ。
「立花も俺の事、好きだったでしょ?」
「はっ?!」
な、な、なんだとっ!!!
知ってたのか?
知っててあんなこと言ったのか?
こいつはどれだけ俺の心を弄べば気がすむんだ?
「俺はお前なんか、だいっきらいだ!!」
思わず口をついて出た言葉。
ほら、また晴海に困った顔させた。
俺は、もう、どうしたらいいんだ?
「ならっ!俺の事、好きにさせてみせるから!!」
ばっと立ち上がると、俺をぎゅっと抱き締める。
「ごめんね、立花。俺、立花を傷つけた。」
ぺろっと涙を舐められる。
「お、おまっ!!?」
「好きだよ、立花。」
甘い声でささやかれて、抵抗もできず、唇を塞がれた。
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