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......巫女、凄っげぇ綺麗だ、
祭壇の上で巫女神楽を舞う巫女都の妖艶な姿は、人目を引いている。正太郎はもう、鼓や笛の音も耳に入らなくなるほど、巫女都に魅入られていた。
すると舞を舞う巫女都と目が合い、巫女都も逸らす事無くこっちを見つめながら舞っていく。
誘われてるみたいだ、
そんなふうに思った。心臓が痛いくらいに鳴ってやがる。この巫女神楽独特の妖しい雰囲気に当てられたんだと、正太郎は思い込もうとした。
けれど、離れた場所から見つめてくる巫女都の姿が余りに妖艶で、正太郎は見ている事が出来なくなり思わず目を逸らす。
っ!?....目、逸らされたっ。
正太郎がスッと目を逸らした瞬間、巫女都の微笑みが固まる。ムッとした巫女都は正太郎を見つめたまま、持っている巫女鈴をシャランッ!!と一度、一際大きく鳴らした。
その音を聴き、正太郎がパッと巫女都を見ると、巫女都は目だけで、ちゃんと見ててと想いを伝える。
それに気付いた正太郎が困った顔で頷くと、ちゃんと伝わった事が分かり、巫女都にようやく笑みが戻った。
神楽舞も無事終わり、祭壇から降りた巫女都が真っ直ぐ正太郎の元へ向かおうとすると、外国人観光客が、bravo!fantastic!と称賛しながら熱烈なハグをしてくる。
「 わっ!?...Thank You」
ハグの仕方に若干厭らしさを感じなくも無いが、今は祭事の真っ最中だし、相手は観光客。無下には出来ないし、投げ飛ばすなど以っての外だ。
巫女都は何を言ってるいるかよく分からないので、引きつった顔で「Thank You」と繰り返している。
あの野郎!!!
巫女都が触られているのを見て、正太郎は血が滾る感覚を覚えた。ベタベタと触る外国人も気に入らねぇが、なによりへらへらしてる巫女都が気に食わない。感情に飲まれ、考えるより先に足が動いていた。
巫女都の下までズンズン進むと、正太郎は素早く巫女都の腕を掴み、外国人観光客に怒鳴り散らす。
「この野郎っ! 気安く触ってんじゃねぇ!!」
「 正ちゃんっ!?」
驚いた後、周りを気にする巫女都に構いもせず、正太郎はその腕を強く握り直し、またズンズン歩きだした。
「正ちゃん、痛いよっ!」
神社から離れ母屋に着くと、漸く正太郎は腕を離してくれたものの、何も言わない。正太郎の顔を覗き込みながら巫女都は声を掛けた。
「...ねぇ、正ちゃん、どうしたの?」
「どうしたじゃねぇだろっ!ベタベタ触られてんのにへらへらしてんじゃねぇ!!」
「 へ!? へらへらなんかしてないもん!!」
不安そうに聞く巫女都に正太郎はなぜか腹がたち怒鳴ってそう言ったが、怒鳴られ驚いた巫女都は一瞬言葉を詰まらせるも、直ぐに剥きになって言い返す。
「あっそ。もういいや、じゃあな。」
「正ちゃんっ!」と声を掛けてくる巫女都を無視し歩きだした正太郎は、これが妬きもちだという事に気がついて自分でも戸惑っていた。
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