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「えっ!? こんなに良いんですか?」
...いや、良かねぇだろ。帯封付いてんじゃねぇかよ。
いつも通り神社で巫女装束を身に纏って掃除をする巫女都を迎えに来た正太郎は、少し離れた場所で座り込んでそのやり取りを見ていたが、思わず心の中で突っ込んだ。
先日行われた祭礼の巫女神楽を見て甚く感動したからと、一目で高級だと分かるスーツをビシッと着こなす優男風の紳士に、帯封が巻かれたままの札束を賽銭箱に入れても良いのかを巫女都は聞かれている。
あの祭礼から、こうして巫女都目当てに神社に訪れる者が増えて居り、それに警戒した正太郎は態々早起きをして神社の境内で巫女都の掃除が終わるのを待っている。
君が喜んでくれるなら幾らでも惜しくはないよ。などと、キザったらしいセリフを吐きながら巫女都の肩に手を置くのを見て、今まで黙って見ていた正太郎が動く。
「はーい、お触り禁止なんで!! 巫女、そろそろ時間だから着替えてこい。」
キャバクラの黒服の様なセリフを吐きながら紳士に睨みを効かせ、正太郎は巫女都の肩を抱き寄せて促す。
「あ、うん。すみません、これ、金額が多いので、宜しければ寄付として納めて頂けますか?」
そう紳士に頼み「正ちゃん待ってて!」と巫女都が母屋に走り去って行くと、残された正太郎をジロジロと紳士が見てくる。
「なんだよ」
不躾な視線に耐え兼ね、正太郎が紳士に尋ねると「あぁ、失礼。君はあの子の?」と問われ即答する。
「彼氏だよ。寄付の受付はあっちだ。さっさと行け。」
「ガードの固い彼氏が居る訳ね。覚えておく。また会いに来るとあの子に伝えて。じゃあ失礼。」
と寄付の受付をして去って行く紳士の背に向かい「伝えねぇし、もう来んな」と捨てセリフを吐いた。
「お待たせ、正ちゃん!」
制服に着替えて走ってきた巫女都の艶やかな黒髪を撫で「行くか」と正太郎が促すと、巫女都が「はい」と手を差し出して来る。
「手、繋ご?」
にっこり笑って言う巫女都に照れた顔をした正太郎は「...おう、」と緊張しなからその手を取った。
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