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俺は自己嫌悪に陥り、暫く放心状態だった。
意識の無い巫女を見ていたら、自責の念に駆られ、せめて身体を綺麗にしてやろうと巫女を抱え上げて離れの風呂場で巫女の身体を綺麗に洗った。
華奢な巫女でも意識の無い人間は重くて、洗い清めたその身体を湯から上げるのにはかなりの力が必要だった。
巫女にタオルを巻き付けて部屋に戻ると、布団の柄がさっきと変わってて、側にラップのかけられた夕食が置いてあった。
俺は巫女を新しい布団に寝かせると、その夕食の上に置いてあったメモを手に取る。
【 早く仲直りしなさいよ】
メモにはおばちゃんの達筆な字でそう書かれていて、布団もおばちゃんがかえてくれたのかと思うと申し訳無い気持ちになった。こんな事知れたら、俺はただじゃ済まされないだろう。
暫く待ったけ目を覚まさない巫女が心配になり、俺は何度も息を確認する。
一人で夕食を食べて巫女の隣に横になると、いつのまにか吸い込まれる様に眠りに落ちてた。
「....ん、...巫女、っ!?」
朝になり目を覚ますと、隣に巫女都が居ない。
凄えショックだった。自分の隣にある筈の巫女の温もりが無くなる事が、こんなにも苦しい事なのだと俺は身を持って思い知った。
足が鈍くて、のろのろと緩慢な動きで部屋を出て、自宅へ戻る。
何もしたくはねぇけど、今日は平日で学校があるから。少し早いが仕度をして、いつも通り神社へ。
巫女に謝りたかった。
謝って許して貰えるかは分からねぇ。顔も見たくないと思われているかもしんない。それでも謝らなければ巫女を失うかもと思ったら凄え恐怖で、自然と身体が動いていた。
石段を登って行くと、鳥居の横に巫女装束に身を包んだ巫女の姿が見えた。巫女は竹箒を杖代わりにして、腰を擦りながらため息を吐いてる。
その姿を見てたらビビって俺の足は竦んだ。
...もし、許してくれなかったら、...いや、それでも謝んねぇと。
静かに近付き「...巫女、」と俺は声を掛けた。
「わっ!?.....正ちゃん、おはよ。」
振り向いてそう挨拶した巫女は笑顔だった。でも、その目は赤くなってて、また泣いていたのかもしれないと思ったら苦しくなる。
巫女は人前では泣かない。ウルウルと目に涙を溜める事はあっても、泣いている姿なんてもう何年も見て無いなと気づいたら、そんな巫女が自分のせいで泣いたのかと思うと掛ける言葉が見つかんねぇ。
「.....正ちゃん、ごめんね。」
巫女の言葉に弾かれた様にその顔を見ると、苦笑いの巫女が俺を見つめていた。
「...んで、巫女が謝んだよ、.....わりぃのは俺だろ。」
「 でも、元はと言えば僕が悪いから。...正ちゃん、...仲直りしたいよっ。」
巫女はそう言うと、下唇をギュッと噛んで俺を見つめてる。そんな巫女を見てたら胸がギュッと痛くなり、勢いよく巫女を抱き締めた。
「 ごめん巫女っ、...ごめん!もうあんな事、二度としない!!」
「......正ちゃん。仲直り?」
「......巫女が、...許してくれんなら、」
「 じゃあ仲直りっ!」
巫女の言葉に涙が込み上げて来て必死に堪える。格好悪いから。
「.........っ、」
「 あー、正ちゃん泣いてるでしょー?」
正ちゃんの泣き顔を見てやろうと僕が腕の中から出ようとすると、正ちゃんに後頭部を押さえられて一層強く抱き締められた。
「 .....っ、...うっせ。泣いてねぇよ。」
「じゃあ顔みせて」と言う巫女に俺は断固拒否する。
「本当はチューしたいんだ。だから離して?」
そう巫女に言われ、俺はおずおずとその手を離した。
「 ふふ、やっぱり泣いてるじゃん! 正ちゃんは泣き虫だなぁ。」
笑う巫女に慌ててうるせぇと返しそっぽを向くと、チュッと巫女がキスしてきた。
「 着替えて来るから待っててねっ!」
真っ赤な顔ではにかむと、巫女は母屋へ向かってく。
マジで可愛い。俺、凄っげぇ巫女の事好きだな。....こりゃ、病気だ。
俺は自分の気持ちの大きさを再認識した。
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