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玉砕
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ジヨンが割って入ってくれたからか、『さよちゃん』に玉砕されたからか、イジメはパッタリなくなった。
あの時、女子トイレに入れられて、入り口で俺が出れないように とうせんぼうしていたイジメっ子を後ろからゲンコツを落とし、イジメを辞めさせてくれた。
その姿はメシアのように見え、掴み掛かられても びくともしない強さに 俺は一瞬で恋に落ちた。
(…そういえば、あの後は先生とか来て、ちゃんとジヨンくんにお礼言ってない)
あれから3日経っていて今更感があったが、やはり言うべきことは言っておかねばと、隣のクラスを覗いてみる。
するとそこは一つの席を中心に女の子達が群がっていた。
「ジヨンさま、今日は私と帰ろ?」
「なに言ってんのよ!今日は私でしょ?!」
「まぁまぁ、皆で一緒に帰ればいいだろ?」
「きゃーー!ジヨン様お優しいっ!」
「さすがジヨン様っ、お心が広い!」
(あそこだけピンク色で花が散っているように見えるのは俺だけだろうか…。)
ジヨンはいわゆるモテ男だ。
黒髪は猫っ毛で肩につくくらい長い
目はぱっちり二重で愛らしい
上唇は薄くて、下唇はふっくらしてる
子供のそれなのに色っぽい
おまけに性格は優しく、頭も良く、運動もそこそこできるとあってはモテて当然だろう。
そんな彼に声を掛けるタイミングすら与えてはくれない女子の壁に圧倒されながら、今日も終わってしまった。
(…明日こそは!)
次の日、登校すると日直は弥千代だった。
一日の終わりに日直ノートに皆の様子の記録を書いて、職員室へ持って行く。
すると途中でバタバタと誰が走ってくる音がした。
「ハァ…ハァ……ぅ、わあっ!!」
「わぁぁっ!!」
丁度角でその人とぶつかってしまい、持っていた日直ノートを落とし、自分とその子は尻餅をついてしまった。
「いてててぇ」
「いってぇ…あ!ごめんねっ!俺が走ってて気づかなかったから…怪我は?」
「うん、大丈夫…だよ、ジヨンくん」
ずっと声をかけようとしていた人の声に顔を上げると、心配そうにこちらを伺っていた。
「本当にごめんね…」
「大丈夫だよ。…あっ、それとこの前はありがとう…助けてくれて」
するとジヨンは不思議そうにキョトンとする。
「俺、君になにかしたっけ?」
「ぇ?…この前、俺女子トイレにいれられてイジメられてたのを助けてくれてたじゃん」
「……?」
ジヨンは顎に手をあて、目線を上の方に彷徨わせ考える。
「あぁ!あれ、君だったの?
俺はてっきり女の子かと。女の子がイジメられてるのは我慢ならないからね」
彼は覚えていなかった。
俺を…俺という存在を。
そうして儚く散った俺の初恋…
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