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瓶の蓋
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「ねぇ、ちよ。何コレ?」
「て、……てへっ」
ジヨンは朝食を作っていた時から気になっていたものが冷蔵庫にあった。
「蓋はどこ行っちゃったの?」
「旅…かなぁ〜?」
ジヨンの手元にはジャムの瓶。
それには本来ついている蓋がなく、代わりにラップがしてある。
「……やっちゃったか。」
「むぅ〜…だってぇ…」
それは3日ほど前。
買い物から帰って来た弥千代は仕事で疲れており、手軽にトーストで済ませようとしていた…。
「この芳醇の食パンが一番美味しいんだよねぇ〜♪ るんるんっ」
お気に入りの食パンをトースターで焼き、その間に買ってきたものを冷蔵庫に仕舞う。
そして今日安売りしてた大きめのジャムを開けようとした…。
「ん゛、……ふんぬっ!!…ありゃ?」
一番最初に開ける瓶の蓋ほど固いものはない。
弥千代の非力ではなかなか開けることが出来なかったのだ。
布巾を使ったり、意味もなく蓋をポコポコ押してみたり色々試したが功をなさず、結局ペンチで開けることにした。
「ペンチってお前…」
「俺だって破壊する気はなかったもん…。
ちゃんと上手くやれば大丈夫かなって思ったのぉー。でも無理だった…コレがその惨劇」
弥千代は破壊された蓋をジヨンに見せる。
「………。」
「ホント、血の気が引いたよ。あははっ」
「ついに感情がはみ出したんだな。」
「……」
そしてそっと蓋を捨てた。
「……ちよB型だろ。」
ぎくっ、と肩が揺れたのを見て確信したジヨン。
「な、なぜわかった…?さてはお前も仲間だな?!」
「くくくっ、バレてしまっては致し方がない。…不本意ではあるがお前には死んでもらおう!」
「ぐッ…卑怯な奴め!」
弥千代はやりきれない羞恥を時代劇風に誤魔化してみた。
それにジヨンは意外にも乗ってくれた。
弥千代は側にあったお箸を刀に見立てて、今にも斬りかからんと構える。
ジヨンもそれに合わせてお箸…もとい刀を取ると片手で構える。
今のジヨンは銀魂の主人公のコスプレをしたままなので、いやに雰囲気がある。
主人公の銀さんは木刀ながらも剣の腕前は最強だ。
弥千代にはただのお箸がだんだん木刀に見えてきた。
対して弥千代はパジャマ姿だったので迫力が違い過ぎた。
「………くっ、あんたの勝ちだよ。俺のことは煮るなり焼くなり好きにするがいい」
「え、マジで!? やったね!!」
「え!?ちょっ…!!」
弥千代がそう言うなりジヨンはいきなり現実世界に戻り、弥千代を軽々と抱き上げるとリビングのソファに降ろした。
「わっ!…ちょ、待っ…ん、ンッ!」
「んふっ、『好きにしていい』んでしょ?」
「ひぎゃーーー!!!」
瓶の蓋を壊したということだけなのに、なぜか襲われてしまう弥千代でした。
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