アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
仕事1~sideじゅん~
-
最近、あまりいい客に当たらない。
この前の客は、短小の上に早漏で、俺がイク前にさっさと終わりやがった。
まあ、金は引っ張れるだけ引っ張ってやったが。その日は、他に誰も捕まらなくて、不完全燃焼の体を慰めるため、久しぶりにオナニーする羽目になったし。
その前は・・・、と思い出しそうになって、慌てて記憶をしまう。
嫌なことは思い出さないに限る。
今日こそ、絶倫ならいいのになぁ。
そう思いながら、客との待ち合わせ場所に立っていた。
俺の仕事は、“売り”だ。もちろん、これで食っているワケじゃない。一応、本職はバーのバーテンだ。
俺が“売り”を始めたのは、まぁ、些細なトラブルがきっかけだが、結局今も趣味と実益を兼ねて、この世界にどっぷり浸かってしまってる。
趣味というよりは、必然に駆られて、のほうが正しいのだろう。
俺は、誰かに抱いてもらわないと夜眠れないから。
セックスでイキまくって、疲れはててからじゃないと眠れない。
そんな体になってしまっているから。
こんな俺でも、彼氏がいたこともあった。
だけど、色々あって、俺にはそういう関係は合わないと気がついた。
それからは、セフレや客としか寝なくなった。
ゆきずりの相手もいたが、やっぱりゆきずりの相手は怖い。病気をもらう可能性も高いから。病気自体にはなんの恐怖もないが、病気になれば、誰からも抱いてもらえなくなるかもしれない。そんなことになれば、俺は、冗談じゃなく死ぬ。
その点、客だと絶対にゴム使うしなぁ、金も貰えるし、やっぱ“売り”が一番かなぁ。
待ち合わせの時間を過ぎてもなかなか現れない客を待っている間、そんなことを考えていた。
待ち合わせ時間を30分ほど過ぎて、俺がドタキャンされたか、と苛立ち始めた頃、ようやく、一人の男が現れる。
黒髪、オールバック、スーツ。
元締めの田中から聞いていた特徴を思い出す。今日の客はコイツだ。
向こうは俺の顔を知っている。
お互いに数歩近づく。
「“こんばんは、ボクの美しい人”」
「“はじめまして、グッドナイト・ムーン”」
合言葉を言って、ようやく商売の始まりだ。
合言葉は、意味がよくわからないが田中が決めている。なんでも映画のタイトルをもじってるとかなんとか。
あの顔で映画を観るなんて笑える。
田中の顔を思い出しながら、営業用の笑顔を顔に貼りつけた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
7 / 118