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遭遇2
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具体的に恋人を探す、と言ってもプロセスは一晩の相手を探すのと代わりはない。
手当たり次第に声をかける、というわけにはいかない。そもそもゲイだというだけで間口は狭くなる。
いきつけ、というわけではなくても、そういう相手を探すためによく行くゲイバーがあった。
いかにもヤり目的の奴らが集まるバーもある中で、おれがよく行くバーは比較的落ち着いた人間の集まる場所だった。もちろん、客も店員もゲイだけ。
何人か顔を見たことのある相手に軽く挨拶程度に頭を下げ、一直線にカウンターへ向かう。
この店の暗黙の了解。
カウンターに座る客は、パートナーを求めている証。
カウンターの向こう側のマスターも心得たものだ。
橋渡しとまではいかなくても、相性の良さそうな相手をさりげなく引き合わせてくれたりもする。
「珍しいね、君がくるなんて」
おれは苦笑いするしかない。ここに来るのが珍しいという意味ではないからだ。いつもなら、ここに座って一晩の相手を見つけたあとは、半年は来ない。それが、二ヶ月も経たない内に来たのだから、自分から欲求不満だと言ってるようなものだ。
「ちょっと、今回は本気で相手探そうかと思って」
正直に打ち明ける。長く本気で付き合える相手が欲しいのだ、と。
マスターは少し考え込んだような表情をした後、おれの前にビールを差し出す。
「まあ、まだ時間も早いし、ゆっくり飲んでて。また後で紹介するよ」
冷えたビールは、おれの中に燻っている熱を冷ますようで心地よかった。半分ほどを一気に飲んだ後は、ぼんやりと店内を見回す。
ぐるり、と一周見回したところで、おれを見つめる視線に気づいた。
───誰だ?
見たことがあるような気がする。
でも、誰かはわからない。向こうはおれを知っているのだろう。連れの男に声をかけて、ゆっくりグラスを持ち立ち上がって、こっちに向かってきた。
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