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異変2
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小山先生はあっさりと俺の欲しがった言葉をくれた。
「いいんじゃない?別に。あとは肋骨の骨折だけだけど、それも特に処置が必要なわけでも、安静が必要なわけでもないしね」
ただし、と付け加えられた言葉に愕然とする。
セックスは当分無理だ、と。
自分ではそこまで酷いと気がつかなかったけど、俺の直腸はかなり傷ついているらしい。
仮にも生死を扱う医師としては絶対に認められない、と妙なプロ意識で言われた。
小山先生がそう言うくらいだから、よっぽどなんだろう。
それはわかる。でも、俺は───
「とりあえず、薬飲み続けて。痛み止と胃薬。あれ、本当は安定剤だから」
どっちが、とは言わなかった。
俺が今度はそれに依存することを恐れたのか、ただの気まぐれか。
どちらにしても、俺がこの一ヶ月以上、眠れていた理由がわかった。
もしかしたら、あの暴力がきっかけでセックスしなくても眠れる体質にでもなったのかと思っていたが、そうではなかったらしい。
あの痛み止と胃薬は、意識を取り戻してからずっと飲み続けている。最初は痛みがあるときに飲んでいたのに、いつの間にか夜寝る前に飲むように処方が変わっていて。
睡眠薬と違って、変に頭が重くなるわけでもないから気がつかなかった。もちろん、違和感はあった。だけどそれ以上に心身のダメージがでかかったんだろう。
確かに今の状態なら、俺は一人で生活ができる。でも、セックスのできない体を抱えて一人で夜が過ごせるとはどうしても思えなかった。
安定剤なんて、なんの足しにもならないだろう、その確信はあった。
「どした?先生に何か言われたのか?」
病院からの帰り道、明らかにテンションの下がった俺を心配して、まさとが声をかけてくれる。
でも、こんなこと言えっこない。
セックスできないって言われて落ち込んでる、なんて。
だって、どうしてそんなことで落ち込んでるのか訊かれる。そしたら、答えなくちゃならなくなる。
あー、ダメだ。考えちゃダメだ。
必死でなんでもない顔を作る。
「ん?何にも言われてないよ?そろそろ一人で生活ができるくらいに回復したって言われたくらいかな」
上手く誤魔化せたはずなのに、まさとは変な顔で俺を眺めていた。
でも、結局は、そうか、とだけ言ってその後は二人とも無言でまさとのアパートまで帰っていった。
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