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接触1~sideまさと~
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『アンタがいいなら・・・ここに残るよ。まだ本調子じゃないし』
俯きながら純がそう言った時のおれの気分の高揚をなんと表現すればいいのだろう。
人恋しかったのは事実だし、純との生活が思いの外楽しいのも事実だ。
その事実を踏まえても、この弾むような浮かれた気持ちに理由を求めることはなんとなく避けてしまう。
───とりあえず、今のままでいい。
そう、思っていた。
純が大ケガをしているのはわかりきったことだったし、食事やらの世話をするために、バイトが終わればすぐに家に帰り、そのままどこにも出かけない生活が1ヶ月は続いていた。
それが不満だったわけではなかったが、ふとファミレスでのバイト中に、『そういえば、亮はこの鍋で火傷したことあったな・・・』とか亮のことを思い出してしまうと、亮に会いたい気持ちが止められなかった。あのはにかむような笑顔を見て、自分の気持ちを再確認したいという気持ちもあったのかもしれない。
亮と連絡を取ると、明日なら予定が空いていると言われて。
おれも明日なら昼間のバイトだけだから都合がいい、と明日の夜飲みに行くことになった。
その日の夜、バイトから帰ったおれが、明日の夜飲みにいくことを純に伝えると、あっさりと「いってらっしゃい~」と言われた。
寂しがって欲しかったわけではなかったつもりだが、やはり少しは寂しがって欲しかったのかもしれない。
純は、時々おれが勘違いしそうになるほどおれとの距離が近い。
それなのに、おれに執着した様子を見せることもなければ、おれの前で心を許した笑顔を見せることはない。ただ、あの売りをしている時のような顔をしないというだけ。
時折、何かを悩んでいるような考え込んでいるような顔をするくせに、おれがどうかしたのか尋ねてもなんでもないと誤魔化す。
かと思えば、甘えるように近寄ってきたり見つめてきたり。
振り回されている、そんな気分になる。
それがどこか無性に腹立たしく、でも他人との付き合いなんてそんなものなのか、と自分を納得させていた。
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