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慣れ3
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「ふつーのセックスってこんなのが当たり前なの?」
コトの後。とろとろに蕩けた頭は、つい余計な言葉を口にしてしまう。
まさとが俺の言葉に少し目を開いたのを見て、しまった、と焦ってしまう。
「まさとって、他のヤツにもこんなセックスするのかなって思ったから」
慌てて言い訳のように誤魔化す。ホントに調子が狂う。あんなこと、訊くつもりなんて全くなかったのに。知らなくていいことなのに。
俺の動揺を知ってか知らずか、まさとは黙ったまま立ち上がって台所へと向かい、戻ってきたときには両手に缶ビールを持っていた。
「ん、飲むだろ?」
当然のように差し出され、喉の乾いていた俺も当然のようにそれを受け取り、さっきの話題がスルーされたことにホッとしていた。
聞こえていなかったのかもしれない。まあ、そもそも意味わかんないだろうしな。
「・・・お前さー、また、仕事続けんのか?」
しばらく無言でビールを飲んでいたまさとが唐突に尋ねてくる。
仕事、が何を意味しているのかはすぐにわかった。多分クビになっているだろう本業のバーテンのことじゃなく、売りのことだろう。
「・・・できれば、してほしくねーなって思ってる」
どうして、このタイミングでそんなことを言い出したのかわからない。
けど、まさとの顔は真剣で、その目が真っ直ぐすぎて、俺には苦しかった。
「別に、俺もすぐに再開する気はなかったけど・・・ぶっちゃけちょっとまだ怖いし」
まさとの顔は見れなくて、俯いたままでもごもごと答える。
でも、本音だ。
まさととのセックスのお陰でセックスへの恐怖心は消えたけど、またあんなことがあったら、と思うと迂闊には売りは再開したくない。
まあ、金に困ってるわけじゃないし、贅沢してるわけでもないから、なんとか生活はやっていけるだろうし。まだ、しばらくは何もする気はなかった。
「なら、おれだけにしとかねーか?」
これからのことなんかを考え込んでいた俺は、まさとからの言葉に反応するのが、かなり遅れた。
おれだけにしとく・・・って、セックスのこと?
そう言われれば、もうすでにそんな感じだよな。ここんとこずっとまさととしか寝てないし。
まさととのセックスは、なんだかムズムズすることも多いけど。ゴムは着けてくれるし、きもちーし。
しばらく考えた後の、俺の返事は一つだった。
「うん、いーよ」
この時、俺は本当に軽い気持ちだった。まさとがどんな気持ちだったかなんて、考えもしなかったんだ。
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