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再会6~sideじゅん~
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田中からの提案とは、『しばらく新規の客は取らない、昔からのなじみ客及び常連のみ取る』というものだった。しかも、あの日のきっかけを作ったとも言える、黒崎に関しては出禁にしたというのだから、俺にとっては言うことなしの好条件だ。
普段、売りに関してはドライというか冷たいほどだった田中がなぜこんなことを言い出したのかはわかなかったが、初めてと言っていいくらい売りへ積極的になれない今、俺はその提案に飛び付いていた。
だけど、問題が一つ。
寝られない体質は変わっていない、ということだ。
ただ寝られないだけ、と思うかもしれない。不眠症で死ぬ人間はいない、と言われたこともある。
だけど、眠れないということは、生きている地獄だと俺は思う。
体と脳は疲れて休息を求めている。
それでも、眠れないのだ。
限界までくると気絶するような眠りが訪れることはある。だが、その眠りは一瞬のことですぐに目が覚めてしまう、それの繰り返しがどれ程苦しいか。
睡眠薬に頼ればもれなく悪夢と頭痛がついてくるし、どうあがいても救われない。
やっぱりセックスしかない。
だけど、売りも制限して、セフレとも切れてしまった今、俺は誰と寝ればいいのか。
俺の命綱だった、ガラスケースの中の携帯は、今は一台だけになっていた。
しばらくそのかなり古い型の黒い携帯を手のひらで弄ぶ。
電源を入れるつもりはないし、入れたところで充電もないだろう。
わかっていたのに、最後に頼るのがこの携帯しかない自分にものすごく吐き気がした。
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