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85 目を離すと
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遙side
「おーい、お前らーほどほどにしとけよー。明日が地獄だぞ」
「わーってるって!大丈夫だよな?大輝っ!」
「ちょっと飲み過ぎだって!今日のうちに全部飲まないと行けないわけじゃないんだからっ」
アルコールの臭いをぷんぷんさせて高らかに笑う。
相当酔いが回っているようだ。
ココは兄貴の前の席で丸くなって寝ていた。
「ココ、大丈夫か?そんなところで寝たら風邪引くぞ」
仕方なく、ゆっくりと抱き起こして揺すり起こす。
「うぁ…?」
「ココ、風邪引くぞ。ベッド借りるか?」
「はゆ……ねむいー」
目を擦りながら寝ぼけたようすで口を開く。
俺の首にしがみつき、安心したようにまた目を閉じる。
すぐに、すよすよと寝息をかき始めてしまったココに、なぜか妙な違和感があった。
「……おい。酒臭くないか?気のせいか…?」
「ほぇ…?」
「ちょっと息吐いてみて」
「はぁーっ…こぉ?」
「酒臭いぞココっ!お前飲んだだろ!?」
妙な違和感はニオイからから来ていた。
微妙にアルコール独特の酸い臭いがした。
「お前…酒飲んだのか?」
「飲んれなーい。ぶどうジュース飲んらー。ちょっと苦かったぁー」
「ぶどうジュース?」
「あれぇーっ」
ココが指をさしたのは机に置いてある空のワインボトルだった。
「おい。誰だ…ココに酒飲ませたヤツ!!」
まったく、目を離した隙に…。
油断も隙もない。
ココが指をさした時に、ギクリというような顔をしているヤツが一名いたため、
犯人探しはものの数十秒で済んだ。
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