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二人の少年
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「倉橋、おまえ遅いんだよ」
金髪の少年、佐木は眉間にしわを寄せながら悪態をついた。
「10分もまったんだぞ」
座ったまま腕を組み舌打ちをする。佐木は明らかに不機嫌だった。しかしその反面、きちんとこの場所に来たことを満足に思っているようにも見える。
よっぽど急いできたのであろう。肩を上下させ荒い呼吸を繰り返す少年、倉橋は今にも泣き出しそうな顔で声にならない声で「ごめん」と口にした。
「まぁとりあえず座れよ」
それは苦しそうな倉橋を気遣っての言葉なのか、それとも指示通りこの場所に来たことに対しての褒美なのか。
どちらとも取れない態度ではあったが、そんなこと考えている余裕もないのか倉橋は佐木のいうようにベンチに腰掛けた。
「あ、あのさ」
座ると同時に、恐る恐る声をかけた。
蚊の鳴くような声に佐木は一瞬だけ目を向ける。
その視線をわざと避けながら言葉を探す。
「…しゃ、写真を…」
消してほしい。
そう言おうとした。しかし。
「大丈夫だよ」
遮るように佐木の声がした。
その一言に疑問と違和感を感じながら倉橋は目を丸くした。
大丈夫というのは一体どういうことだろうか。
「そ、それって」
同じベンチに腰掛け、前を向いている佐木の横顔を見つめる。目を細め口元にはほんのり笑みを浮かべていた。
佐木の耳に光るピアスが夕日を反射してキラリと輝く。自分にはないその光に見とれたままその横顔から目をそらせない。
頭では佐木の言葉の意味を追っていて目ではその横顔を追っていた。
どういう意味なのか。安心していいのか。
頭の中で考えを巡らせている途中。前を向いていた佐木がゆっくりと振り向いて顔を近づけてた。目と目を合わせ逸らさずに、言葉の続きを発する。
「俺の言うこと、ちゃんと聞いたらな」
唇の隙間から白い歯を覗かせてニヤリと笑った。
あぁ、やっぱり。そう落胆しながらも
その時あることに気がついた。彼の頬に紫色のアザを見つけたのだ。今日学校で会った時にはなかったはずなのに。いつの間に怪我したんだろう。頭の中でふとそう考えた。けれど今はそんなこと気にしてる場合ではない。
人通りも少ない、こんなところにいては、何をされるかわからない。
早急に立ち上がりベンチから離れようとする。
しかしそれに気づいた佐木は倉橋の腕を掴み逃さなかった。
「帰るつもり?写真どうなってもいいのかよ」
腕を掴まれたまま固まる体。
倉橋はそれ以上抵抗しなかった。
「何すればいいの」
弱々しく呟く。もしかしたら、またあの写真のような恥ずかしい行為をさせられるのかもしれない。
照らす夕日のせいなのか、耳まで真っ赤だ。下唇をきゅっと噛んで涙をこらえた。
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