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百城和彦の勘違い
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【百城 和彦】(ももき かずひこ)
「もう、言わなくていいよ、ごめん。俺、無神経だったね」
震える肩をそっと抱く。
「…辛かったよな」
「…っ…ちが、う…そんなんじゃ、ない…から」
祐貴が、泣いている。
そりゃそうだ。仲良くなりたかっただけなのに
自殺を考えるほど追い詰められて。佐木は本当に最低な奴。
それなのに、だ。
祐貴はあいつを心配してる。
一体、どこまで優しいんだろう。
あいつに散々振り回されて、傷付けられて。心も折れて。
「これ以上、強がるなよ」
俺がそう言うと、必死に首を振る。
自殺しようと思ってたこと、バレたくないんだろう。
「ほ、ほんとに、違う…僕、思ってないっ…」
「何が違うんだよ。ムリして嘘つかなくていいよ。そんな涙流してるのに。」
「………‥っ!」
顔を真っ赤にして泣いている祐貴の涙を指で拭ってやると、その体がビクンと小さく跳ねた。
なぜだろう。震えるその様子が小動物のようで、思わず抱きしめたい衝動に駆られる。
「話、きくよ。俺に出来る事あったら、手伝うし。これ以上一人で傷付かないで」
祐貴の頭を自分の胸に押し付け、ぎゅっと抱きしめる。裕貴の体の温もりと、柔らかい髪質から漂う香りに、何故か体が熱くなった。
理由は分からない。
ただ、一つ思った。
今まで、見てみぬふりしていた事。
これからは全部、目を逸らさない。
ーーー俺が、守ってやろう。
震える身体を抱きしめる腕の力が、よりいっそう強くなった。
ーーーーー
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