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聞きたくない言葉
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「それに、全く関係ないって訳じゃないんだよなぁ」
ニヤニヤした顔で視線を合わせてくる。何を言いたいんだ、全く関係ない訳じゃないってどういうことだよ。……空は何を知ってるんだ。
「どういうことだよ!」
「ん~まずは、何から話そうか……真白はどう思う?男を好きになってどういう気持ち?」
「何でそんなことまで言わなきゃならねぇんだよ!!」
「…俺はさ、お前を好きになったとき『気持ち悪い』って思ったよ。あ、真白じゃなくて、男を好きになった自分自身がな」
「………」
地べたに座り込んでる俺のそばに手をつき、口を俺の耳元に近づけてきた。
「なぁ、真白。………お前が一ノ瀬に好きって伝えたらあいつはどう思うかな」
「……っっ!!!」
息が詰まった。声が出ないような感覚だ。
「一ノ瀬はお前のこと……」
!!!!その先は…!!!!
「…めろ…ゃ、めろ……やめろ!!!やめろっ!!!!」
言うな言うな言うな言うな言うな言うな言うな!!!!!!!聞きたくない!!!頼む……言わないで…や、めてくれ…!!!!!!
俺の必死の願いも虚しく、聞きたくなかった言葉が近距離で耳に入ってくる。
「……お前のこと『気持ち悪い』って拒絶するかもな」
空の言った言葉がダイレクトに耳に届く。頭の中で言われた言葉がグルグルと回って理解させようとする。
「あ…ぁぁ、あぁ…」
俺の中にあったものがカラカラと音を立てて崩れていくような気がする。
空はそれに気づかないような素振りでまだ話を続ける。
「あぁ、あと一ノ瀬って女いるのな。こないだあった時すっごく仲良さそうに引っ付き合ってたから。…あっ!知らなかった?!ごめんな??」
もう何も言えず放心状態のように体に力も入らなかった。
………も、もう、やめて…これ以上、言わないで…頼むから、そんな話聞きたくない……やだ…
こんな思いすら言えない。声にならない。
「幸せそうだったな…それに一ノ瀬って柔らかいのすげぇ好きだよな?って事はやっぱ女の子がいいよなぁ~!!!」
「…やだ……やだ…聞きたくない、や、めろ…」
「聞きたくないって言ったって…真白の置かれてる立場を伝えてるのに遠回しに言い過ぎたかな……真白はきっと一ノ瀬の『幼馴染』以上でも以下でもないんだよ。お前の好きって思いは一ノ瀬に伝えることは許されないって思わない?だって、お前の思いは今好きな人といて幸せな一ノ瀬にとって邪魔でしかないだろ?な?」
「あ…ぁぁあ…ぅっ…もっ、やめって、くれ…やだっ……ひっく…やだぁ…」
至近距離でわざとのように俺の耳元でこんな話をするこいつは何が言いたいんだ。
自分の置かれている立場と、許されないと言われた思いに押しつぶされそうで、我慢してこらえていた涙が溢れてきた。
「あぁーあ、泣いちゃった。………可愛いな」
俺の涙を拭いながら笑顔を見せる空が怖かった。
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