アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
-白鳥side35-
-
「さてと…これならバレないわね」
保健医の勤務を終えて白衣を脱いだ後、いつもは家でバッチリと決める服とメイクを学校で済ませてしまった。今回は“作戦E”のため、ナチュラルメイクでウィッグはセミロング。服装も落ち着いたイメージで、なるべく一般女性を意識したファッションにした。案の定、退勤時間のため、私の事なんか誰も気がつかず通り過ぎていった。
これなら大丈夫。久しぶりのミッションと、明ちゃんがどんなに変わっているのかが気になり、ドキドキ半分ワクワク半分と言ったところだ。明ちゃんのいる“マイクドナルド”にはアルバイトで守ちゃんが居ると聴いていたため、未成年は勤務できない夜間帯を狙う事にした。
「……いっちょ女優魂発揮しちゃおうかしらね」
午後23時。客が居ないのを駐車場から見計らい、店内へと入っていった。私の感はバッチリで、もうその時間帯には成人済みのアルバイト1人と店内を清掃する明ちゃんしか居なかった。
「いらっしゃいませ!……申し訳ございません、清掃は中断しますのでごゆっくりどうぞ」
久しぶりに明ちゃんの事を見たけど、あの頃とは何も変わらない姿で、優しい笑顔を振り撒いていた。ひとつ驚いたとしたら接客業についていたということぐらいかしら。どちらかと言えば人付き合いは苦手な方だったみたいだから、ある意味安心はした。チーフという役職もあってか、学生の頃のような自信なさげな雰囲気はすっかり無く、凛々しい印象が強い。こんなこと言いたくないけど、黒ちゃんの十倍はしっかりしている様子だった。
注文のためレジに行くと、運良く明ちゃんに当たった。お酒はよく飲むものの、ジャンクフードは殆ど食べないため、慣れないメニューをじっと見つめていると優しく微笑みながら説明をしてくれた。
「女性に人気なのは、こちらのフルーツバーガーです。どちらかと言えばスイーツになるかもしれませんが、甘いものがお好きならいかがですか?」
「あら美味しそうね!……太っちゃう時間だけど、たまにはいいかしら」
「テイクアウトも出来ますが、僕は個人的に気にしないですよ。……お客様は十分素敵ですから」
女性扱いされて浮かれていたのも束の間、私には眩しすぎる笑顔でサラッと口説かれてしまい、この店が繁盛している理由がなんとなく分かってしまった。何この不純物のないホスト感……この子をテイクアウトしたいわ。
そうこうしているうちに注文したものが手元に来て、私は席についた。……さーて、ここからが本番ね。
因みに私の作戦はこう。①客席で物思いに耽りながら静かに涙を流し、明ちゃんに声をかけてもらう。②何でもないと言うが、明ちゃんは掘り下げて聞いてくる③忙しいから申し訳ないと一応断りながら、なんとかこの後ゆっくり話せる関係に持って行く。我ながら完璧なプランね。
……純粋な明ちゃんを騙すようなことをして本当に申し訳ないけど、③まで持っていけたらこっちのもの。私は女優スイッチを入れて、演技を始めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
34 / 37