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焦燥 晴side
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「…くっそ!!!!!!!」
北村に崩されて俺を下敷きにしている机や椅子から無理やり這い出る。
俺が動いたせいで更にバランスを崩し椅子が降ってきたが気にしない。
そんなことを気にしている場合ではない。
「奏太…っ!」
パニック気味になっている頭を無理やり少し落ち着かせ、奏太がどこに、どうして連れ去られたのか考えた。
(…何が最善だ?)
こんなときは、場慣れしてるヤツの頭脳を借りるに限る。
スマホをポケットから取り出そうとすると、丁度そのタイミングで着信が入った。
「…!!
もしもし!奏里!!!」
『もしもし。状況は把握してるから落ち着いて。』
「奏太はどこだ!!」
『落ち着いてってば』
「んなことわかってるっつーの!!!
奏太の居場所を知るのが先決だろうが!!」
『……落ち着きなさい、って言ってるの!』
決して怒号ではない、しかし聴く者を圧倒する声。
それは、彼女が市全体の裏を取り仕切る組織、「シロカワ」の娘であり、次期トップである貫禄を醸し出していた。
『晴。あなたが冷静に動くことかできなければ、助けられるものも助けられなくなります。わかりますね?』
「……あぁ、悪かった」
奏里の口調が丁寧かつ厳しいものに代わり、今の彼女は「シロカワ」として話していることがわかる。
反論は認めない。
そんな絶対さを感じさせた。
『頭が冷えたようで何よりだよ。
時間も無いから分かってることを手短に話すね。
まず、学校外の監視カメラにそれらしき姿はなかった。
だから奏太たちはまだ校内にいると思う。
次に、これはとある情報筋からの話なんだけど、奏太が連れ去られたのは暴行目的の可能性が高い。
早急に見つけ出して保護しよう。
分かっていることは少ないけど、人通りの極端に少ないところか、防音加工がされているところが怪しいね。
晴、奏太が連れ去られたのはどこ?』
「旧校舎だ。俺もそこにいる」
『なるほど…少し、考えさせて。
一度切るから、その間に千夏に連絡してもらえる?
授業が始まる前に連絡しないと繋がらないので急いで。
終わったらまたあたしにかけてね。じゃ』
ガチャン、と返事をする間も無く電話が切れ、深呼吸をする。
そうだ。
落ち着け。
なぜこの件に関してを奏里が知っていたのか。
とある情報筋とはどこなのか。
気にはなったが、気にすべき点はそこではない。
俺はとりあえず、言われた通りに千夏に電話をかけることにした。
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