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変わり果てた奏太 晴side
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音楽室に入ると、変わり果てた奏太の姿があった。
顔も体も腫れ上がり、そこかしこから血がにじんでいる。
痛々しい様子で横たわる奏太の顔は血の気を失い、まるで、死んでいるかのよう。
「奏太! 奏太…ッ!!!」
必死で名前を呼び、抱き寄せる。
小さく鼓動が伝わり、それだけで少し安心した。
そこで、ふるる、と奏太のまつ毛が震える。
「奏太!?」
うっすらと目を開けた奏太は、数度まばたきをしてから軽く首をかしげた。
「ね、え……」
掠れた小さな声で呼びかけられる。
「どうして、ないてるの…」
そこで俺は、自分が泣いていることに気付いた。
「わらっ、て……」
そう言ってまた目を閉じた奏太。
腕の中にある温もりを強く抱き締め、涙を拭ってから抱き上げる。
「…晴、こっち。」
先導する奏里の後に続き、奏太と共に俺は黒塗りの車に乗り込んだ。
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