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ないしょの話 1
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奏と思いが通じてから、数日。
待ちに待ちに待ちに待っていた、奏からの連絡があった。
『…いつでも、来い。待ってる』
「うん!」
撮影が終わり事務所に戻った俺は、社長室へと急ぎ足で向かった。
「入っていいぞ」
ドアノックのあとに返ってきた声に、俺はドアを開けて中に入る。
と、聞こえたのは社長の声じゃなくて。
「久しぶりだな、篤」
「高遠さん!」
そこには高遠さんが我が物顔でソファに座っていた。
「久しぶりですね」
「聞いたぞ、奏から」
ニヤっと笑いながらタバコに火をつける高遠さん。
タバコ吸うんだ…なんて思っていたら、横から腕が伸びてきた。
社長に肩を組まれている。
「奏とくっついたんだろ?」
「…はい、まぁ…」
すると二人は、やっとかよー、とため息混じりにつぶやいた。
…やっと?
「んで?何か言いにきたんじゃないのか?
まぁ、だいたい想像つくけど」
あぁ、そうだった。
「俺、マンション出ます」
「奏と住むんだろ?」
高遠さんがニヤッと笑い、俺を見上げた。
「はい」
「わかった。解約手続きしといてやるよ」
「ありがとうございます」
社長が俺から離れて高遠さんに近寄り、高遠さんの手からタバコを奪った。
お前、奪うなよ。
まぁいいじゃん。
なんてやり取りをしてる二人。
…仲いいなぁ。
「いつ引っ越すんだ?」
新しいタバコに火をつけた高遠さん。
「あさって、午後はオフなんでそのときに」
「半日で終わんのか?」
手伝ってやろーか?と言う社長に、マジっすか!と食いつく。
「荷物少ないんで、自分の車で運ぼうかと思ってて…。
車出してくれると助かります!」
「んじゃ、あさってお前んち行くわ」
「ありがとうございます!」
「よし、祝杯あげるぞ、その日」
高遠さんが立ち上がりながら、おもむろにそう言った。
「引越し祝いと、奏と篤の祝い」
「おー、いいなそれ!」
高遠さんの提案に社長も大賛成。
「篤、奏に言っといてくれ。葵、いっつか決まったら連絡くれ。じゃーな」
「おー、また後で連絡するなー」
高遠さんはひらひらと手を振りながら、社長室を出て行った。
俺発言するタイミングなかった。
何気に飲み会が決定したな、今。
でも、お祝いか。
…嬉しいかも。
「じゃ、あさってよろしくお願いします!」
「はいよー」
社長に頭を下げて、俺も社長室を後にした。
そしていよいよ引越し当日。
家具家電付きのマンションだったため、引越しは身軽だ。
モデルなんてしてるから服いっぱいあるとか思われがちだけど、俺はホント少ない。
仕事でいろんな服着るから、あんまり自分の服に興味ないんだよなー。
二時ぐらいに社長が来てくれて、荷造りしていたダンボールとか衣装ケースを社長と俺の車にせっせと運んでいく。
ちなみに俺の車はミニバンタイプの国産車。
車買うときに、兄ちゃんがどーせなら大きめ買っとけって言ったから、コレにしたんだけど。
濃いめのオレンジ色で、お気に入りだ。
そして社長が乗ってきたのは、でっかいワンボックスカー。
中広っ!
荷物が入る入る。
「社長が来てくれてマジ助かりました!」
「どーいたしまして。以上か?」
「はい」
「んじゃお前らの愛の巣にレッツゴー」
「いまどきそんな言い方しませんよ…」
「なんだよ、その通りだろーが」
まぁそうですけどね。
また一緒に住めることに、思わず顔が緩む。
「お前、ホント感情が素直だよな」
なんて社長に言われてしまった。
車を停めて、外に出る。
…なんか、どきどきしてきたぞ。
はやる胸を押さえて、ドアを開けた…ら。
「篤っ」
「っわ…と、奏!」
飛び込んできた、奏。細い腰を抱きしめる。
「庭にいたら、車の音聞こえたから」
俺を見上げてへへっと笑う奏に、胸がきゅんとする。
あーもーなんなの、この可愛い人は!
そのままの勢いで奏の顔に近づいていく……
「後にすれば?運ぼうぜ」
「うわぁぁっ」
後ろからかかる声に慌てる俺。
「ちっ邪魔すんな葵」
悪態をつく奏。
「へーへー、すいませんね」
軽く流す社長。
…とりあえず、荷物運ばなきゃ、うん。
社長が来てくれたおかげで一気に荷物がはこべてたので、あっという間に引越し完了。
始めに宛がわれた部屋が、そのまま俺の部屋。
俺は部屋にこもってものを片づけていく。
奏はキッチンで料理中、社長は酒の調達にでかけた。
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