アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
気まずい空気が流れる中、肇は俺たち二人を放置して出て行きやがった。
説明しとけって…俺が一人でできないことか?
それともお前らのことか?
……っつか、ノーマルの篤に説明って…。
無理だろ。
気持ち悪がられるに決まってる。
……でも、とりあえず…ちゃんとあやまんなきゃ。
「ゴメン、嫌なもん見せて…ごめんな」
ーーあぁ。泣きそうだ。
篤の強張った顔が目に入り、思わず涙腺がゆるみそうになる。
だけど篤は、気持ち悪いと思ってないし、男同士に偏見はないと強く言い切った。
そのことに、少しだけホッとする。
すると篤は勘違いしているのか、俺と肇が恋人だと思っているようで、俺は咄嗟に否定した。
アイツはそんなんじゃないと言うが、戸惑う篤。
っつか、あんな場面見たら普通そう思う…か。
あんまあん時の話はしたくないんだが…しょうがない。
俺は、未だに忘れることのできないトラウマを、篤に告白する。
あの後、少し人間不審に陥った。
環境を変えて、過ごしたかった。
父親が日本人ということもあり、日本語は小さい頃から耳にしていたおかげで身についていたし。
まぁ、日本にきてから、俺の話し口調は決して上品ではないとに気づいたんだけど。
父さん、口悪かったんだな。
まぁ、そんなわけで日本にやってきて、肇と葵に出会ったんだけど。
まぁ、確かに変な関係ではある…か。
あいつらが特殊なんだよなぁ、と俺とあの二人は恋人じゃないと否定し、むしろあいつらが恋人同士だと説明する、はずが。
篤の衝撃の一言で、そのタイミングを逃してしまう。
「俺が、奏のをしてあげる」
ーーーーえ?
ちょ、何言ってんだ?
代わりって、お前が?
んなこと…されたら…俺は。
否定すると、篤は自分が商品だからかと聞いてきた。
そうだ、篤は商品。
商品、なんだ。
きっぱり否定するも、篤は商品じゃなくなったら…なんて言ってきて。
何だ?……よく、わからん。
よくわからないまま、そのあとの篤はいつも通りで。
なんか、うやむやに終わってしまった。
「うーーーあーーーー……」
俺の唸り声が部屋に響く。
どうするよ、マジで。
できない。
曲が、できない。
ヤバイだろ。
またしても唸っていると、ピアノの上に置いていた携帯が鳴った。
「もしー、聖夜?あぁ~、スタジオにいるー。ちょい待ってて」
聖夜が来たらしい。
俺、仕事中って邪魔されたくないから、スタジオには来客を告げるものは一切設置してない。
だからスタジオにいる間は居留守状態だ。
玄関を開けると、スーツ姿の聖夜がいた。
「仕事か?」
今日日曜なのに。
「朝から会議」
「そか。お疲れー」
リビングに通して、紅茶を用意。
あ、あともらったバームクーヘンも。
「んで?相談てなんだよ」
「んー…」
聖夜に相談を持ちかけていた俺。
話を聞くために、聖夜はやってきてくれた。
「曲がさぁ……できねーんだよなぁ」
「…珍し。どうしたんだよ」
少し驚き顔の聖夜。
いつもなら、パパっとインスピレーションで作っちゃう俺。
次々と言葉と音がわき出てくる、のに。
いや、わき出ては、いる。
……あの歌、だけは。
こいのうた、と名付けたあの歌。
作詞だけのつもりが、作曲までしてしまった。
それも、本格的に。
今すぐ商品化できんじゃね?ってぐらい。
……なにやってんだ、俺。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 80