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第1章:アップルチーク(1/2)
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【side*啓】
葵と同居を始めて今日で一週間。
付き合い始めて二週間。
出会ってから一ヶ月が経った。
スピード結婚ならぬスピード同棲に多少の不安を感じつつも…
やっぱり、その不安に勝ってしまうのは葵のことが好きだから。
肌寒い季節。人肌恋しい11月。
駅前の公園で、愛おしい2つ年下の恋人を待つ。
…こんなに寒いと葵がすごく恋しい。
時計を見ると、4時30分を回っていた。
あと少しの辛抱。
学校が終わるのが4時。学校からここの駅までは約25分。
キョロキョロと辺りを見回して、葵の姿を探すものの見当たらない。
どっか、寄り道でもしてんのか…な?
まー、高校生…一番楽しいときだもんなぁ…
そんなことを思っていると、一瞬にして暗くなる視界。
目元がじわじわと冷えた肌を温めていくのを感じた。
「だーれだっ?」
そんなの聞かれなくても分かってる。 こんなに幼稚なことする、可愛い声の持ち主は一人だけだ。
「葵くんですー」
「正解ーっ♪」
小さく右に傾げながら笑みを浮かべる葵を見ていると、本当に好きなんだな…と実感してしまう。
それに、学校帰りということで…制服。
パジャマでもなく、私服でもなく、紺のブレザーに、赤のストライプのネクタイ。
そしてチェック柄のグレーのズボン。
こう、まじまじと見ているとなんともまぁ…新鮮で……可愛い。
「ねぇ、けーくん! 今日鍋にしよ」
「おー! いいねぇ!」
「じゃ、鍋決定ね」
「葵に任せるよ」
「うん、まかせてーっ」
ぎゅっと握られる左手。
女の子みたいに白くて柔らかい、 小さな手。
俺は包み込むように、強く握って葵の歩くペー スに合わせ、ゆっくり歩く。
「ね、けーくん…シュークリーム食べたい」
「じゃー…コンビにでも寄ってくか」
「うん! あと、チョコアイスも買っていい?」
「寒いのに、アイスー?」
「寒いから、アイス!」
葵らしいというか…なんていうか。 自然と笑みがこぼれる。
猫っ毛の髪を指に絡めるように撫でると、気持ちよさそうに足を止めて目を閉じる。
ほんと、猫かっつーの。可愛いヤツめ。
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