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だって欲しいだもん!
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「あっ、楷くん。」
通りかかったショートカットの女の子が2人の横に立ち止まった。
「あぁ、そっち終わった?」
「うん、バッチリ。それよりさっき電気屋さんいたよ。挨拶した?」
里見は自分がピクリとするのがわかった。
「うん、俺も会った。」
「あの人いくつ?私服だとすごく若く見えるけど。」
「さぁ?今度、聞いてみる。」
そういう事を本当にするりと出来そうな楷に嫉妬しそうだった。
「メチャメチャ可愛い人よね、あの電気屋さん。色が白くて華奢で少女漫画に出てきそうな童顔。あれで本当に電気屋さん?」
「あれで工事士さんだからね。あっ、勝谷も近くで見たよね。…てか、まぁあれは…」
「楷くんが無茶させた事件ね。本当に勝谷くんいなかったら危なかったわよ。」
「まぁ、その話はねっ!そういえば写メ撮らしてもらったよ。」
里見はゴソゴソとスマホを取り出そうとする楷に衝撃を受けた。
(写メ!?)
「ほら!」
印籠のように出されたスマホをつい里見も食いついた。
「あら?勝谷くんも興味あるの?」
ショートカットの女の子が意外気に里見を見た。
「…まぁ…」
「珍しいな。勝谷が人に興味持つなんて。」
楷も珍し気に里見を見ていたが、里見はそれより写メを見たかった。
そこには私服姿で仲間に囲まれて、びっくりしたような顔をした彼がいた。
(可愛い…)
里見はにやける口元を手で覆うのが精一杯だった。
「この石渡さんって人が名刺くれた。んで、この人が金田さんで、勝谷が助けたこの可愛い人が雨宮さん。」
里見が知らなかった名前まで知っている楷に羨ましさを通り越して、憎さまで覚えた。
「へぇ〜〜。あっ、私行かなきゃ!」
ショートカットの女の子は「じゃあ!」といって風のように去っていった。
「慌ただしいな〜。」
(彼が来てる)
里見は心臓がバクバクいうのがわかった。
「んで、さっきの話なんだけど…」
楷が再び里見に振り返った。
「さっきの…」
「ん?」
「写メ、くれないか?」
こんなにも欲しいものがあるとは思わなかった。
楷は不思議な顔をしてスマホを指差した。
里見は顔を逸らし、腕を組んだ。
「助けた人が無事だったんだ。記念に欲しいんだよ。」
お粗末な理由を並べてみると楷は納得したように頷いた。
「そうだよな〜〜。俺も人助けしたらそう思うんだろうな〜〜。でも、タダではあげられないな〜〜。」
里見は唇を噛んで楷を睨んだ。
「あっ…」
「…」
さっきスマホの中にいた人がすぐそばにいた。
さっきまでうるさかった周りの音が急に静かになり、彼だけしか目に入らなかった。
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