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泣いてたまるか!
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しんとした空気に耐えらなくなり、幸希は口を開いた。
「俺、トイレ行ってくる。」
「じゃあ、付き添います。」
勝谷はなんの戸惑いもなく、幸希に手を伸ばした。
「な、な、な、なんでだよ!いいよ!1人で行けるよ!」
幸希はその手を断り、ベッドから下りた。
「いやでも俺、付き添いだし。」
「えっ…いやでも、もう歩けるし!!大丈夫だ!頭も痛くないし…うんうん!!悪くなさそうだ。バッチリ!完全体!」
幸希は肩や首を回しながら、笑顔で手を振った。
勝谷は考えるように一瞬、床に目を落として口を開いた。
「そうですか…じゃあ、俺はもう帰ります。」
「えっ…?」
ポツンと胸に雨粒が落ちたようなそんな感じがして、幸希は真顔に戻った。
「トイレ、行ってきて下さい。俺、その間に椅子とか片しときますから。雨宮さんがちゃんとベッドに戻ったのを確認しないと帰れませんし。」
「こ、子供じゃないぞ!で、でも、もう帰らないとね。悪かったね、付き合ってもらって。ありがとう。。」
出来るだけ笑顔が作れるように口を広げた。
「いえ…。」
勝谷は幸希を見ずに持ってきたボディバッグを肩に掛けた。
「あっ、すぐ行ってくるから!」
(なんだよ…俺って奴は!?)
幸希はキューと締め付けられるような苦しさに背を向けるようにドアに手をかけた。
ガラガラガラ
シーン
(暗い…)
ピシャ!
幸希は再びドアを閉めた。
「…。」
「雨宮さん?」
勝谷の不思議そうな声がした。
「…あっ、なんでもない。。」
幸希はぎこちない笑顔で振り返り、意を決して再びドアに手をかけた。
ガラガラガラ
(いない…よね?)
幸希は廊下に出た。
所々小さな灯りはあるものの、薄暗い廊下が永遠に続いているように長く見えた。
(怖っ…)
『人参…』
あのウサギが頭をよぎる。
(なんでこんな時に!)
ポカポカと頭を叩いたが、足は進まない。
(誰も…いるわけないよな…)
ヒタヒタヒタヒタヒタヒタ
「雨宮さん?」
「ゔぁぁ!!!!!!!」
幸希は驚きのあまり、飛び上がって壁に肩を強打した。
「だ、大丈夫ですか?」
「あっぃって…。おどかすなよ!」
「すみません。雨宮さんがドアの前で動かなくなっていたから。」
勝谷は幸希に手を差し伸べた。
「付き添い….ましょうか?」
「…すまん。」
幸希は勝谷の手をとった。
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