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お化けなんていないさ!
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薄暗闇で勝谷が首をかしげる。
「なんていいました?」
「あっ…なんでもないよ。」
(よかった…聞こえなくて…)
顔を上げた幸希は勝谷の手を引き、前を歩き出した。
「トイレどこだよ。。」
「広い病院ですから。」
「….…」
「……」
「…なんか、喋って…。」
手に汗をかいてきた。
「なんか…といわれても…」
「…あっ、あの光、ナースステーションじゃないか?」
大きな光とカウンターのようなものが見え、幸希は明るい声でよろこんだ。
「ナースステーション…といえば、こんな話知ってます?」
その声を打ち消すように暗く重い声が、背中にじわっと張り付いた。
「な、なんだよ。」
「とある病院で、夜の11時頃ナースコールが鳴ったそうです。ナースが呼び出しランプを見てみるとその病室は空室の所のナースコールでした。コールはすぐに点滅をやめたので、ナースも『故障かな?明日、見てもらおうか。』とそれほど気に留めず、日報を書いていました。」
幸希の足は遅くなっていた。
「すると1時間後、また例の病室でナースコールが鳴りました。またすぐに止んだので、ナースは朝一で事務長に連絡しようとメモを書き出しました。そして1時間後、やはりナースコールが鳴りました。しかもきっかり1時間後。ナースはまた1時間が経つのが怖くなりました。そして1時間後…。」
ナースステーションが近づいてくる。
「やはりきっかり1時間後にナースコールが鳴りました。しかも今度は鳴り止まない。怖くなったナースはその病室のナースコールのの止めようとした時…。」
ナースステーションが横目に見えた。
ナースステーションは出払っていて、だれもいなかった。
幸希は急に不安になり、辺りを見渡した。
トルルルルル
近くにあって電話が鳴り出した。
叫び声を上げそうになり、勝谷が後ろから口を押さえた。
「んっー!」
幸希はパニックになり、もがいた。
電話はすぐに切れた。
すると勝谷は再び話し出した。
「暗闇からお爺さんの顔が出てきて、『なんで早く来てくれないんだ』!!」
「んっー!!!」
幸希がバタバタと暴れると勝谷ようやく手を離した。
「怖かったですか?」
「怖いよ!」
笑いながら見下ろす勝谷に抗議の目で睨んだ。
「しかし、ナースステーションに誰もいなくていいんですかね?す」
「そうだな。」
2人はカウンター越しに空になったナースステーションを見ていた。
タッタタタタタタタタ
「へっ!?」
何かが走ってくる音が左側から聞こえた。
ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ
今度は左から足音が聞こえる。
亡くなった…お爺さん…
「わぁーーーーーーーーー!!!」
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