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海のお兄さん
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「勝谷くーん!こっち〜〜!」
「勝谷く〜〜ん!!ビーチバレーしよう!」
「勝谷く〜〜ん!写真撮ろう!」
四方八方から名前を呼ばれ、里見は海に潜りたかった。
「さすが、モテるな!」
迷彩柄の の短パンタイプの水着を着た楷がパラソルの下に座りこんだ里見を見下ろした。
「海行かないのか?」
里見は黒の短パンタイプの水着を着ているのだが、上にブルーのTシャツを着ていた。
「俺はまだいい…」
見渡すとキャンパスで見かけた事ある男女が何人もいた。
「なぁ、楷。あま、、、電気屋さんは?」
「あぁ、まだかな。。混んでるのかな?」
砂浜には沢山の人がいた。車だけでなく、人も”渋滞”している感じだ。
「人多いな〜。ちょっと連絡してみよう。」
そういって楷が携帯を袋から取り出した時、
「いたぁ〜〜〜〜〜〜!」
間延びするような声が耳についた。
「遅くなってごめんね〜〜。」
そこにいたのは、目がさえるようなエメラルドグリーンの色で他の女の子より布地が少ないようなビキニにでっかいサングラスをつけた女性だった。
「わぁお、竹下さん!凄いっすね!」
楷のいいところは正直なところだ。
楷は目を上下させてニヤニヤしていたが、それ以上にニヤニヤしている眼鏡の男性が竹下の背後に控えていた。
「あっ、木下さん!?」
(そりゃあ来るよな、この人。)
「あぁ、あの時の!?おい、雨宮!勝谷くん来てるぞ。」
その名前だけでどきりとする。
「木下、お前も荷物持てよ!」
人混みなのに雨宮の姿だけが輝いて見えた。
「あっ、雨宮さん!」
里見がぼんやりしていると楷が大きく手を振って、遅れてきた他の3人を迎えた。
「雨宮さん!」
楷が近寄るとそれを遮るように髪を短く刈り込んだ金田が前に出た。
「お前のせいで雨宮さんが酷い目にあったんだぞ!」
「だ、だから今日はお詫びに….」
タジタジの楷に雨宮は一歩前に出た。
「金田くん、やめなよ。あれは俺も悪かったんだよ。ちゃんと体調管理も出来てなかったし。楷くん、あの後会社に菓子折り持ってきてくれたんだね。ありがとう。」
柔らかな声に胸が苦しくなる。
「いえ、すみませんでした。。」
「大丈夫だよ。免許とれたの?」
「いえ、まだ教習中で…」
「もういいだろう?あちぃよ、海行こう!」
背の高い年長のような男性が、2人の間に入ってきた。
「いくぅ〜〜〜!」
「行こう、行こう!」
ぶるんと身体を振る竹下とそれをガン見する木下がビーチサンダルを脱いだ。
「自分、パラソル借りてきます。」
金田も砂浜を駆け出した。
「ったく、、、あのエロ親父たちめ。。よいしょ。」
「…持ちますよ。」
残った雨宮は重たそうなクーラーボックスを肩に下げていた。
「あぁ、いいよ。」
里見は細い肩からクーラーボックスの紐を掴み上げた。
「あ、ありがとう。」
(よく運んできたな)
里見はクーラーボックスをビニールシートの上にのせた。
所在なさげに立つ雨宮は、カーキ色の短パンタイプの水着に白い半袖のパーカーを羽織っていた。
「ここどうぞ。」
里見は自分達のパラソルに誘った。
「ありがとう。」
隣に座ると細くて白い足にドキッとした。
「勝谷く〜〜〜〜ん!カキ氷食べに行こう〜〜!」
2人空間を楽しみたいのに同級生たちは遠くからでも話しかけてきた。
里見は大きく手と首を振って、断った。
「…海、行かないの?」
雨宮が首を傾げるとパーカーからちらりと雨宮の白い胸が見える。それだけで里見は目をそらしてしまう。
(同じ男なのになんて綺麗なんだよ。。)
「….」
里見は目をそらしたまま、ギュッと膝を抱えた。
「勝谷くん、海行ってきな。ここは俺が留守番してるから。」
心臓が口から飛び出しそうなくらいドキドキしている。ドキドキが聞こえてるんじゃないと思う。
「は、はい!じゃあ…」
身体が心と共に反応しそうになり、つい”はい”といってしまった。
「うん、行っといで。」
雨宮のホッとした声にも顔を向けれなかった。
(俺のバカ!)
唇を噛み締めながら、立ち上がるしかなかった。
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