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女の子と合コン
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「え〜〜雨宮さんって、30代なんですか〜〜?見えない〜〜!」
横に座った女の子は顔を真っ赤にしながら、カシスオレンジの入ったグラスに口をつけていた。
「台風来てるね。」
「明日が一番接近するんでしょう?今日じゃなくてよかったよね〜〜。」
女の子はネェ〜っと首を曲げた。
(…早く帰りたい…)
幸希ははははと乾いた笑いでしか、やり過ごせなかった。
女の子は可愛い。フリフリの服も甘ったるい香りも隙なく塗った化粧も…一生懸命さが眩しかった。
でもやはりセクシャル的には見れない。女の子は嫌いではないが、好きにはなれない。
自分は世間一般の思う”恋愛”は出来ない。
ちらりと目を上げると精一杯盛り上げようと喋っている木下がいた。
(もし打ち明けても…木下は勿体無いとかしかいいそうにないな….)
それでもカミングアウトするのには勇気がいる。言わなくていいのなら、隠しといたまま、今まで通りでいい。
「…ですか?」
軽く肩を触られ、幸希は少し驚いた。
「ご、ごめん。何?」
「やだあ〜〜聞いてなかったんですか?」
さりげなく幸希は身を引いた。
「雨宮さんのタイプってどんな人ですか〜〜?」
幸希は来たか!? と思いながら、にこりと笑って返した。
「そうだな〜家庭的な子かな?家にいて、エプロンの似合う子かな。」
(満点の答えだろう!)
「えっ〜古い〜。今時、女が必ず主婦をするっていうのは遅れてますよ〜〜。ねぇ?カオル。」
横の女の子が幸希の前に座った子に同意を求めた。
「そうですよ〜〜。今は男性も主夫すべきです!」
幸希は笑顔が歪みそうになった。
「あっ…そうなの?」
「イクメンとか流行ってるもんね!」
「私も旦那さんには育休とってもらうもんね〜〜。」
「…ちょっとトイレ…」
幸希は女の子に圧倒されるようにその場を離れた。
ーーー何が”イクメン”だ。
幸希は手を何度も洗っていた。
「こっちは子供作るつもりなかんかないよ!ってか出来ないしな!」
はぁっーとため息をついて顔を上げると青白い顔をした自分と目があった。
「…酷い顔…」
目は覇気がなく、顔色も悪い。
幸希は水で顔を洗った。
女性を見ているとふと、心が痛む時がある。
”タイプってどんな人ですか?”
「俺が…心から幸せになって欲しいと思える人…」
コンコンコンコンコン!!
激しくノックの音がする。
「まだですか!?」
「あっ!すみません!」
幸希は急いでペーパータオルで手を拭いた。
(ん?今の声?)
幸希はそろりとドアに近付いた。
「早くして下さい〜〜俺、吐きそうで…ここオシャレにこだわってんのか、トイレ+手洗い場が一緒になってるし…一つしかないし…うごっ!」
(やっぱり!)
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