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突然の不安。
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食べおわって、店を出た。
「おいしかったね。」
「うんっ」
「これからどうしようか。」
「なんでもいいよ、キヨが行きたいとこでいいから。」
「うーん、そっか。」
どうしようかなって言いながらころころ表情が変わるキヨを見てるのも面白いし。やっぱり2人で出掛けるのも良いなっ。
「あの、すみませーんっ」
2人組の女がキヨに話しかけてきた。
俺のことなんか目に入ってないのがわかる。
「えっ、はい?」
「ここ、どこだかわかりますか?」
とか言って地図をキヨに見せるついでに自分がくっつこうとしてるのわかってるんだからな…!!
「えーと…」
キヨはキヨで天然だし、基本優しいからこういうの絶対断ったりしないのわかってるんだけど。嫌でも想像させられる、いつかキヨが、女の人を連れて何処かに行ってしまう。
そんなことを考えては1人で落ち込んで。だってキヨは、好きになろうと思えば女の人を好きになることだってできるし、子供を作ることだって出来るのに…それを邪魔してるのは、俺だもんな…
「はあ…」
大きな溜息が出る。
「裕基くんっ」
道案内が終わったみたいだ。
「ん、終わった?」
「うん…」
「次どうするか決まった?」
無理に笑ってないと、吐きそうだ、女なんかに触ってほしくない。手を振り払ってほしい。でも優しいキヨのそんな所を見たくない。矛盾してる。
「……」
キヨは無言で笑って、俺の頭を撫ぜた。
「?」
「心配しなくても、おれは裕基くんと居るから。」
「なっ…なんで…」
俺の思ってること…
「なんとなくね…おれはいつだって、裕基くんのこと考えてるよ、きっと裕基くんが思う何倍も、君のことを想ってるから。」
「キヨ…」
「自分でもびっくりしてるんだ、こんなに人のことを好きになるなんて思わなかったから」
へへっと笑うキヨの顔を見て安心した。
キヨの言葉ひとつで、俺の心なんかどこにでも昇ったり堕ちたりできる。
だから余計に怖いんだ。
貴方の気持ちが変わることを考えるだけで、寒気がする。
貴方はいつだって元の道に戻れる、それを忘れちゃいけない。そしてもしそうなったときは、素直に戻してあげないといけない。
ああ…哀しいなあ…
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