アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
同じになれた
-
ボソッと僕が呟いた後、その場の時が止まったみたいに二人してカチンと固まってしまった。さっきまで聞こえなかった風の音だけが耳に入って来て僕も秋人君も黙ったままだった。
だけど………ちゃんと言った……もしかしたら聞こえてなかったかもしれないけど…ちゃんと好きって言えた……
「……あ…あ……きひと…くん」
言ったからにはもう後に引けない‼︎
「ぼ、僕………す、すすきです…秋人君の事が……」
「…………」
もちろん後に引くなんて事はしない……しないけど……
「………」
僕が好きだって言ったのに秋人君は黙ったままで、この状況は一体どうすればいいんだ?
さっきから心臓が破裂しそうな程ドキドキしてるし手も声も震えるし何より恥ずかしくて泣きそうだった
「……秋人君?」
ゆっくりと顔を上げて秋人君を見た
「あ、え?……え?」
そしたら何やら混乱してるらしく秋人君の目がぐるぐる回ってる。顔の赤さが増してて本当に噴火しそうな感じだった
「…だからですね…す、好きなんです」
「ふぁ、ふぁい」
僕も目が回り始め何故か二人して姿勢を正し、初めて秋人君が変な返事をした
「し、ししししのぶくん、それは、それはそのつまりつまりはそのっ…」
「え?」
本当に混乱してるのかな?……秋人君フラフラしてるけど大丈夫なのかこれは?
「秋人く…「いんや!ちょっと待った!」」
「⁇」
フラフラしてる秋人君を支えようとしたら、僕の方に手の平を向けて『待った!』と言われた
ん?………待った?待ったとはどういう事⁇
「ちょっと待って……一旦落ち着くから……その、また俺の勘違いになったらいけねえから一応確認するけど……その好きって……ダチとしてじゃなくて?」
「…………う、うん…友達の好きじゃない、よ」
「っ……まじか」
「……まじ…だよ」
「………」
「…………」
てっきり気持ちを伝えたら飛びついて喜んでくれると思ったけど、秋人君の反応はどこか初々しい……
「はぁぁあああっ」
「?」
大きく息を吐きながら地面にしゃがみ込んで秋人君は頭を抱えた
「まじかぁ………やばいな……どうしよ」
「?……」
「俺まだ夢見てんのかな…………なんか嬉し過ぎてめちゃくちゃにやけちまう……どうしよ……夢なら覚めてほしくねえ……」
そう言って体を縮こませ膝を抱えるその姿を見ると、なんだか嬉しくなって僕も自然としゃがみ込んで秋人君の手を握ってた
「夢じゃないよ……」
自分から誰かに触るなんてした事なかったから、手を握っただけで体の熱が上がっていく
「……俺、多分変態だぞ……」
え?
「へんたい?」
「……うん。……今すげえ忍にキスしたい……」
「…………」
キスしたくなると変態って言うのかな?
「ふふっ……なら僕も変態だね」
秋人君は顔が真っ赤で、きっと僕も顔が真っ赤だと思う
繋いだ手を握り返してくれて二人して顔を近づけ合う
秋人君の顔がすぐ近くに来ると、やっぱり緊張して目を強く閉じてしまったけど、その後唇に感じた暖かくて柔らかい感触はどこか懐かしくて離れてしまうのが惜しいと思う程気持ち良くて……心地良かった
低い姿勢のまま、唇が離れると秋人君に抱き締められた
「忍……好き……すっげえ好き……」
落ち着いてる声だけど秋人君は今にも泣き出してしまいそうな顔をしてた
そっと僕も秋人君の背中に手を回した
「秋人君……」
やっと……
「僕も………好きだよ」
同じになれた
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
289 / 617