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一緒の朝
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「…ん……」
サァァ…とやわらかい風でカーテンが揺れる。
チュンチュンと鳴く小鳥の声で目が覚める。いつもと違うのは、感じるはずのないズッシリとした重さだけだ。
「うぅ…ん……なに…?」
自由に身動きがとれない。何とかがんばって横を見ると、昨日一緒に学校へ行った執事のあきらが、ぼくの隣で気持ちよさそうに寝ていた。
うで…おもいな…
「あきら…?ねーねー、起き…て?」
コロリと向きを変えて体を揺するけど、起きる気配はなかった。
なんで……ここで寝てるのかな?
純粋な疑問だった。
「あきら……おつ…かれ?」
ちょいちょいと頬をつつくけど反応はなく、まったりと時間が流れる。
チクチクチクと…時計の音。チュンチュンと小鳥の鳴き声。サァサァとやわらかい風が頬をなでる。
………
……………
無言のまま、いつものように何もせず、何も感じず、ジッと晶の寝顔を見つめ続けた。
……切れ長の目、黒い髪
どれもぼくにないものだった…
小さな手を晶の頬に伸ばし、触りながらゆっくり瞳にもっていく。
優しく、綺麗に整った目や鼻をすべるように撫でる。うすく開いた口に手を伸ばしたところでパシッと誰かに手を掴まれてしまった。
驚いて顔をあげると、さっきまで寝てたハズのあきらだった。
「あきら、おは…よ」
「…おはようございます、秋人…様」
「……ね、あたま…いたいの?」
「……え?」
「だって、お顔こわいこわいに…なって、る」
そう言って眉間にトンっと人差し指をもっていくと、すこし困ったようにあきらは笑った。
なんで辛そうなんだろう…?
あきらはいま……なにを感じているの?なにを見ているの?ぼくはその目に映ってる?
空っぽだ
なにをされても、なにを言われたって虚無感しか残らない。
「そろそろ起きて学校の支度をしましょうか。その後に朝食をとってすこしだけ歩く練習をしましょう」
さっさとベッドからおりて支度をするあきら。
その後ろ姿に声をかける。
「ねぇ……あきらはなんで…ぼくの隣で、"泣いて"たの?」
そう首を傾げながら聞くと、すこしの間をあけてうすく笑っただけだった。
でも今も泣きそうだよ…?
夜中に震えながらだれかに抱きしめられたのを思い出す。
でも……でもね、なんでか昨日は怖い夢…見なかったんだよ。
嬉しかったんだ……
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