アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
あたたかい家庭
-
「あれれ?なーんか今日家が狭く感じるなああっいつもか!!あははは」
「……お邪魔しております」
これは……日本人でも珍しいほどの童顔な人が来たな
その明るい笑顔を見てると、やっぱり家族だなと感じた。屈託無く笑うその顔が吉田と同じだ。
「……素敵だ」
このあたたかい空間が羨ましい。
秋人に……見せたくない。
まるで秋人が……
……不幸みたいだ
秋人の父(叔母さんの息子)は交通事故で他界し、母親はそのあとすぐ、秋人が5つの頃に国外追放され、今はどこかで静かに暮らしてる。
叔母さんは最愛の長男を亡くし、深く悲しんだ。でもその感情をぶつける相手を間違ってしまった。
その後は次男の昌介様が家を継いだ。その昌介様の息子がこの伊織だ。つまり秋人と伊織は従兄弟にあたる。
そして……これで叔母さんの『秋人に家を継がせない』という夢が叶ったことになる。
そして秋人が成人したら……いや、高校卒業と同時にまたあの日と同じように追放するかもしれない。
もうこうなったら……秋人はこの家にとってただの役立たずのお荷物と、そう変わりはないのだろうから。
………いやだ
「……ら、あき…ら」
いやだ……秋人、あき…と
「あきら……おは、し…もてな…い」
「っは……も、申し訳ありません!口を開けてくださ……」
「あら秋人ちゃん!!お箸はね、こう持つのよ?ほらっ掴めた♪」
吉田の母が秋人にお手本を見せる。綺麗にお寿司を掴んでみせた。
それを見た秋人は、お箸を自分で持とうと頑張った。真似をしながらぷるぷるとお寿司を掴んで口の中に入れたのだ。
「……でき、た! おい…しぃ」
もぐもぐと食べる秋人に、我が子のように嬉しそうに笑う人達。
「………」
ああ、そうか…
秋人は今が幸せで……きっと未来のことなんて考えてなくて………
「あははっ」
ただそこで…笑っていてくれるだけでいい。
俺が必ず、守るから……
秋人の何年ぶりかの満面の笑みに胸が熱くなって涙が滲んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
47 / 76