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朝に
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次の日、目が覚めたら朝日が見えた。
ただそれだけのことなのに、なんでか涙が止まらなくて。
体に力が入らなくて、ベッドに背をあずけながらはらはらと涙を流した。
誰もいない病室で、一人静かに泣いていた。
もうすぐ死んじゃうのに、
もうすぐみんなに会えなくなるのに、
今までで一番、「ああ、生きてるなぁ」って、「みんなに会いたいなぁ」って思った。
別に何を恨むわけでもないし、許せないわけでもないけど、
なんで僕なんだろうなぁって、ただただ思った。
『生きていたい』
そんなこと、病気になる前は欠片も考えなかった。
生きているのが当たり前のことだと、ずっと思ってた。
今更そんなこと思ったって、もう手遅れなのに。
僕は死ぬ。奇跡は起きない。
自分でも分かってるから、そんなこと望んでなんかない。
でも、せめて。
もう少しみんなと笑ってたかったな、なんて。
そんなどうしようもないことを、ずっと思っていた。
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