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なにがどうなってこうなった? 6
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「おい、小僧!」
「うわっ、びっくりしたぁ。なんなんもう」
「自分、なんやあの撮影は」
「え?…おったん?」
いきなり入ってきたこの事務所の一番偉い人は、僕を見つけるなり突然睨み付けてきた。まあ、何が言いたいのかなんてわかってるけど…。
明らかに不機嫌な表情で。
「…」
「遊びとちゃうぞコラ」
わかってます。わかってるけど、どうしても頭が回ってくれへんねん。そんなんプロ失格ってわかってるけど。
何も言い返すことができんくて、楽屋に沈黙が流れる。さっきまでいたスタッフは社長が入ってきて直ぐいなくなった。この人自ら来たことで、何事かあったと察したんやと思う。ヘタレな自分が言うのもなんやけど、この事務所のスタッフはみんな優秀やとわかるから。
気まずい雰囲気。なんて言っていいのかわからんくて頭を掻いて衣装の帽子を取ってテーブルに置いた時やった。楽屋の扉が開く。
「上坂」
「鈴木さんっ」
「…なんや、来たんか」
「上坂、落ち着けって。悟もいいから座れ」
怒られてるって自覚した瞬間から立ち上がって、社長の前をうろうろしてた僕は鈴木さんの登場でやっと息ができた。
鈴木さんっ助けて!
どっかとパイプ椅子に座って煙草に火をつけてた社長の口から煙草を取り上げて、ポケットから簡易灰皿を取り出して直ぐに消した。
「…お前らしくないな、衣装に臭いが着くやろ」
「…ふん、こいつに買い取らせるからええねん」
「そういう問題と違う」
こんなに不機嫌な社長に物申せるんはこの建物の中でこの人しかおれへん。誰もが認める片腕やから。
そしてその片腕である鈴木さんが、続けた。
「俺が話すから、今回は目を瞑ってやってくれへんか」
え…?なに?どういうこと?
「悟、いいな?俺に話すよな?」
「え?あ、うん」
「…甘いんだよ、鈴木は」
そう言いながら楽屋を出て行った。
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