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藍色の時間 4
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一時間くらい車を走らせて、家から一番近い海に着いた。夏だし、もっと車多いかと思ったら案外少なくて、砂浜から一番近い空き地みたいなところに車を停めた。
途中うとうとし出した友希が必死に起きてようとしてるのがいじらしくて音楽を止めようとしたら、その度に目をこすりながら『起きてる』というのが無性に可愛らしかった。
で、結局。
「着いたで~友希」
「・・・あ、」
こちらに首を倒して、寝てしまっていた友希のほっぺたにそっと触れる。涎を垂らさんばかりの口が可愛くて信号の度にキスしようと思ったけど、起こしたら可哀そうだったからやめた。
「ほんまは砂浜まで行こうと思ってたんやけど、」
「うん。ここでええよ?海見れるしなっ」
「そやね」
「運転疲れたやろ~?ごめんな、寝てもうて」
「んーん、友希が寝てくれて嬉しかったしっ」
「?なんで?」
「なんか、安心して頼られてるって感じするやん」
「そ、なん?」
「そやでー」
友希とまだ友達やった時のあの沖縄の海とまではいかんけど、砂浜まで行きたいなぁと思ってたのは儚くも打ち砕かれた。
見るからにきゃーきゃー言ってきそうな若者たちが砂浜で花火をしたり、バーベキューをしてたり。夏の海を満喫してる。
もちろん若い女性も仰山おるわけで、さっきの水族館のように暗いといっても、おる人間たちが違うから何が起こるかわからんし。
音楽を消して車の窓を開けた。
「これくらいいいやろ」
「ほんまやね」
ふふふと笑って窓の外に顔を出した。運転席と助手席の両方の窓が開いたことで車内を潮の香りが吹き抜けていく。案外涼しくてエンジンも切った。
僕から見えるのは友希の後頭部だけで、今どんな顔してるのか全くわからんかったけど小さく聞こえる鼻唄が友希をご機嫌にさせてるとわかって、僕まで嬉しくなった。
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